東日本大震災から13年目を迎えて “いのちを守り、人を活かし、未来をつくる町づくり”へ

1／31

広野町長　遠藤　智

東日本大震災並びに原子力災害から12年を迎えました。この大震災より、今日に至るまで尊い命を亡くされました、直接死と震災関連死を併せて49名の方々のご冥福をお祈し、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
これまで、町民の皆様の懸命なご努力と国内外からの温かいご支援により、全町避難を余儀なくされてから、町民一人ひとりが納得して帰還する「幸せな帰町」を捉え、除染による環境回復、放射線による健康不安の払拭、災害に強いまちづくりを念頭としたインフラの復旧・整備、商業施設の整備、医療福祉施設の整備、広野こども園、ふたば未来学園中高一貫校を始めとする教育環境の体制整備等、生活環境を一つひとつ整え、9割の帰還を果たし、廃炉・復興関係事業者や他市町村からの避難者を含めた約6、000人の〝共生のまちづくり〟に取り組んでまいりました。
広野駅東側整備事業においては、広野駅前東口広場、未来のかけ橋が完成したほか、広野みらいオフィス、ホテルハタゴイン福島広野、馬場医院、広野薬局、広野町商工会等が立地し、令和5年度には、広野町復興計画に掲げる基本理念・目的を達成するため、復興事業のシンボルと位置付けている広野駅東側第二期開発地区の住宅地整備等を実施してまいります。若者子育て世代の定住・県外都市部等からの移住に重点を置き、住宅地購入の負担軽減となる補助制度を実施するなど、就労環境や企業マッチングに力を入れ、移住後の安定的な生活を支援していきます。移住・定住施策を展開するにあたり、国・県・地方自治体、NPO等地域団体、ひろぼークラブ、移住・定住応援隊、ふるさと福島広野会、大学などの高等学術機関、各企業等、関係するすべての皆様とネットワーク体制を構築し、様々な場面において情報を共有していきます。
未来を託す子どもたちの健やかな成長を育む幼保連携型認定こども園「ひろぱーく」の開園、ふたば未来学園中学校・高等学校の新校舎が開校となり、教育の丘が形成され、約1、000人が日々勉学に励んでおります。今後、協定を締結している早稲田大学環境総合研究センター、東京大学アイソトープ総合センター、東日本国際大学、福島高専との取り組みを充実・発展させ、福島国際研究機構(F-REI)に進出する研究施設や当地域の復興を支える人材育成に取り組み、若い人材を活かすための教育を充実させていきます。
「福祉のまちづくり」宣言を踏まえ、地域が抱えている医療・介護・福祉の様々な課題に対し、迅速かつ適切に対応するため関係機関と連携を図るとともに、健康増進事業を積極的に展開し、町のみんなが相互に連携・協働しながら健康づくりの輪を広げ、「日本一元気あふれるまち」の実現に取り組んでいきます。
広野火力発電所が立地する町として、広野火力発電所と一昨年運転を開始した広野IGCCとの未来に向けての共生を展望した脱カーボンを掲げ、脱炭素技術の開発促進、経済的な合理性、国等の政策との整合性を踏まえ、再生可能エネルギーを推進していきます。
今後、町内の企業や各家庭の、省エネ化や脱炭素化を進めるため、環境省の交付金事業を活用し、先行して公共施設等への太陽光・風力・バイオマス発電など、再生可能エネルギーの活用を図り、EV車等や急速充電設備の設置、水素・アンモニアの社会利用モデルの構築に取り組み、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指します。
これまでご支援・ご厚情を賜りました国、県、全国の自治体からの応援職員、国家公務員退職後に支援職員として赴いていただいた方、行動力に溢れたNPOの方々、大学学術研究機関等の研究者の方々に、ご縁、つながりの有難さを深く感じ、感謝の念に堪えません。
復興・創生には、様々な課題・難題がありますが、これまでいただきました様々なご縁を大切にし、愛するふる里のために、様々な皆様と信頼を深め、互いにリスペクトの念を持ち、理解し合うことで、必ずふる里復興・創生を成し遂げる決意をもって取り組んでまいります。
郷土の歴史を振り返れば、私たちの先人は、多くの危機に直面した際、英知を結集し、幾度となく危機を乗り越え、伝統・文化・風土を継承してきました。
先人がたゆまぬ努力によって築いてこられた美しい故郷の伝統・文化・風土に愛情と誇りの念を刻み、本年を〝ふる里復興・創生「草創の年」〟と位置付け、移住・定住を念頭とした新たな時代の防災に強い〝安心・安全な共生のまちづくり〟に向けて町民の皆様とともに新たな未来創造を展望してまいります。
皆様、町政への一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。