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町の昔話コーナー

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福島県新地町

■五猿
昔々真弓と狼沢の境の辻に追分石(おいわけいし)が立っていたったと。
その石には、「南は杉目村を経て菅谷へ、東は谷地小屋を通って釣師浜へ、北は真弓、番小屋※1を通り福田村を経て中山方面へ、西は鈴宇峠を越えて大内へ」と彫られていた上に、五匹の猿が彫ってあったと。
「見猿、言わ猿、聞か猿の三猿(みざる)なら聞いたごどもあっとも、五猿(ござる)っちゃ、なんだべ」
「なんだべなぁ、和尚様ならなんでも知っているはず。これは一つ和尚様に聞いてみるしかないべ」不思議に思った人達が皆で、向屋敷の和尚様※2のところさ聞きに行ったど。
「和尚様、和尚様。三猿ならわがっとも、追分石の上の方に彫られている五猿ってなんのことだべ。教えてもらいでぇ。」すると和尚様は、にこにこと笑って「それはなぁ、『よく見てござる』つってな、よく見て方向を間違わないように、迷子にならないように行きなさいという意味だ。そしてまた、五猿は去っていくという意味の『去る』と動物の『猿』をかけているんだぞ。」と教えてくれたと。
真弓と狼沢(おいざわ)の四辻(よつつじ)は今でも残っているげんとも、その追分石はいつの頃からか見当たらなくなってしまったんだと。五猿は道ばっかりではなく、人の生き方もまた、間違わねぇようにって言うおしえだったのかもしんねぇなぁ。

※1 番小屋
語り部には番小屋と伝わっていますが、現在の大字真弓字小屋前を指していると思われます。
※2 向屋敷の和尚様
現在の町内には向屋敷という地名はありません。真弓と狼沢の四辻の近くの話からすると、福田の東林寺の和尚様の事を指しているか、あるいは、駒ケ嶺に北向屋敷という地名が今でも残っていることから、近隣の明治12年に廃寺となった東善寺の事を指している可能性があります。

新地語ってみっ会では、語り部による昔話や紙芝居など毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で、公開しています。興味のある方はぜひご参加ください。

問い合わせ:新地語ってみっ会
【電話】62-2441

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