■カエルの娘(後編)
お大尽様のカエルの娘。年頃になった気まま、わがままな娘に縁談が舞い込むも何かしら理由をつけて断ります。その割に縁結びにご利益のあるとされる山下の笠野にある八重垣神社のお祭りに参加するのだから、良いご縁を持ちたいとは考えているようです。そんなお祭りの帰り道、近道しようと水神沼の前を通って帰ろうとしたとき、沼の主の大蛇がカエルの娘に一目ぼれしたから、さぁ大変。
「おい。カエルの娘。俺の嫁になって水神沼で一緒に暮らさねが」
「やんだ!おめぇみでな、にょろにょろした男はやんだ!」
カエルの娘は一目散に逃げたが、大蛇はあきらめきれずに追いかけてきたと。
「俺の嫁になれ~~」
「やんだ!」
「ほだごと言わねぇで嫁になれ」
「やんだ」
「やんだくても無理やり嫁にすっと」
「やんだ」
カエルの娘は必死になってぴょんぴょんと跳ねたども、大蛇は追いかけてくるんだと。やっと木崎まで逃げてきたども、木崎川の前で止まってしまったと。木崎川は幅が広くて流れも速い。カエルの娘がなんぼ頑張っても、川を飛び越えることはできそうにもなかった。
大蛇は追ってくっぺし、飛び越されねぇべし、カエルの娘が困っていると、そこさ山居の雄カエルが一匹出てきて「早くおぶされ」って言うんだと。
そして娘カエルを背中に乗せると、木崎川をぴょーんと飛び越えたと。そして沼倉まで無事に届けてくれたと。
今度は娘カエルは、山居の雄カエルに一目ぼれしたと。そして山居の雄カエルと、めでたく結婚したと。
やっぱりカエルはカエルっていうことなんだべな。一方、振られてしまった大蛇。カエルの娘のことが忘れられなかったと。ほんで今でも蛇はカエルを見つけると「嫁になってけろ~」って追いかけてくるんだと。
新地語ってみっ会では、語り部による昔話や紙芝居など毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で、公開しています。興味のある方はぜひご参加ください。
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