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【連載】昭和村の歴史と文化~第6回~

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福島県昭和村

昭和村文化財保護審議会委員長
菅家 博昭(大岐)

◆小院瀬見(こいんぜみ)のカラムシ
5月28日に、富山県南砺市小院瀬見の堀宗夫さん(72歳)が来村された。前回来村時は高速道路を来られたが、今回はホンダN1ボックス・ターボで、一般道を利用して来られた。ファーマーズカフェ大芦家で、懇談したあと、大芦地区のからむし畑(焼いた後に垣、青い防風ネット)、世界の苧麻園、大岐地区の露地草花栽培圃場を案内した。
堀さんたちは、南砺市内で越中福光麻布ギャラリーを運営されている。かつてアサとカラムシの交織布の銘柄産地であった。現在、カラムシ栽培の復活を計画中で、小院瀬見に残存自生しているカラムシを利用したいとの相談に来られた。日本各地で栽培されていたカラムシは地域性を色濃く残している。その土地に合った品種が選択され、その土地に合う技法で繊維取り出しが行われてきた。それを、奥会津地域に残存している技法で栽培・繊維採取を行ってもうまくいかない。その土地のあり方を古老から聞きとり調査をしながら復元するための手伝いをすることとなった。急な展開で、5月31日の水曜日に訪問、現地調査を行うこととなった。我が家の草花栽培が6月からは多忙となるためである。
堀さんたちは、毎週火曜日の夜7時、南砺市福光観音町で、「おうみサークル」も継続して、績み手を増やしている。アサの原料は栃木県鹿沼市の生産農家から購入されている。

◆金山町の中西部(なかにしぶ)遺跡
昨年発掘調査が行われていた金山町大塩の中西部遺跡の説明会が5月27日に川口の開発センターで開催され50名近い人が参加された。発掘調査が夏秋の間行われ、その大規模発掘に作業員として参加された町民も多かった。私も申し込み、「奥会津の縄文展」関係者らとともに聴講した。奥会津地域で遺跡の全面発掘されるのは、只見町の窪田遺跡以来ではないだろうか?三島町の荒屋敷遺跡も道路建設用地の一部分の調査であった。
住居跡、建物跡、昔の人が掘った土坑、集積遺構等1500基が確認され現在も整理作業が継続中である。縄文時代後期(配石遺構からクリ、トチ、クルミが出土)、晩期から弥生時代(半径50mの地域に50棟)、平安時代の2軒の集落跡が確認された。
弥生時代の土器には、キビやアワの圧痕が見られ栽培されていたことが推察され、土器面に疑似縄文(オオバコの種実を回転させた)が確認され、その土器は展示公開された。また、赤色に彩色した土器も確認された。ウルシの利用、ウルシを入れた小さな壺も確認されている。
私は調査報告書の完成を待つが、1200年前の平安時代住居からカマド跡、灯明皿、そして鉄の刀子(とうす)が確認されているという報告で、現物・写真は灯明皿だけであったが、刀子が気になっている。担当者にうかがうと小刀、万能利器として利用したと思う、とのことだった。
鉄器は貴重で、古代のカラムシ製繊の鉄器として利用した可能性があるのではないかと考えている。形状に特徴のあるものは長野県から山梨県域で出土している。
奥会津の縄文展関連講座で、昭和村では7月29日に専門家2名による講演会を予定している。織布技術の考古学研究の福井大学の東村純子博士、台湾少数民族のカラムシ織り研究者の成城大学の田本はる菜博士は、現在の手仕事の未来像も研究されている。

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