■今月の一冊
『うけいれるには』
著者 クララ・デュポン=モノ 松本百合子:訳
出版 早川書房
舞台はフランスのセヴェンヌ地方の田舎。そこに住む両親と長男・長女の家族に、待望の第三子が生まれました。まもなく、この弟には重い障害があることが分かり、それから家族の運命は一変します。長男は弟の世話に没頭して自身の人生や青春を費やし、一方の長女は弟に反発してひどい反抗を繰り返します。疲弊していく家族の様子を庭の石の視点から描くという斬新な構成であり、長男・長女・末っ子とそれぞれの立場の心の動きが非常に繊細に描かれています。重いテーマであるものの、読み進めていくうちに生きる希望に満ち溢れていく作品です。日仏の学生が選ぶゴングール賞を受賞したフランス人作家による秀作です。
■おすすめ新着本
『勉強は役に立つ大人になって困らないために』旺文社
『江戸っ子漱石先生からの手紙100年後のきみへ』渡邉 文幸
『ちょっとこわいメモ』北野 勇作
『春姫という名前の赤ちゃん』チョン・スンガク
『自然色の輝き心に残る風景』祖父江勝彦写真集
『裸足で逃げる沖縄の夜の街の少女たち』上間 陽子
『可笑しな家』黒崎 敏
■公共図書館の現場から
『やなせたかしおとうとものがたり』/やなせたかし
「アンパンマン」の原作者で知られる著者が、幼少期から一緒に過ごしてきた弟への思いや、戦争による別れを描いた詩画集です。本書について「やなせさんに弟さんがいたことや、戦争で失った弟さんをどれだけ思っていたかがよく分かった」という感想が寄せられたため、私も読み返してみて、改めて戦争の残酷さや悲惨さについて考えさせられました。
〔宍戸 萌さん/図書館司書〕
しらさわ夢図書館【電話】44-2112
中央公民館図書室【電話】24-1932
どちらの窓口からも借りることができます。
利用時間:(火)~(土)9:30~20:00(日)・(祝)9:30~17:00
休館日:11月6日(月)、13日(月)、20日(月)、27日(月)
※上記以外の休館日や開館時間が変更となる場合もありますホームページや電話でご確認の上、ご来館ください
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