■今月の一冊
35年目のラブレター
著者:小倉孝保
出版:講談社
本書は、64歳まで字を書くことができなかった西畑保さんの半生を描いた実話です。西畑保さんは、昭和11年和歌山県で生まれました。貧困によりいじめられ、小学校低学年で通学を諦め、読み書きができないまま社会に出ました。そのことで差別を受けたり、劣等感を抱きながら人生を送り続けます。
結婚後も読み書きができないことを隠していましたが、町内会の回覧板に署名ができないことで、妻の皎子(きょうこ)さんが気が付きます。別れを覚悟した西畑さんの告白に対し、皎子さんの「ずっと辛い思いをしてきたんやろな」という言葉と深い愛情に救われます。その後、西畑さんは結婚35年目に夜間中学に通うことを決めます。支えてくれた妻に感謝の気持ちを伝えるラブレターを書くためでした。逆境を乗り越えて前を向いていく西畑さんの姿に感銘をうける一冊です。
■おすすめ新着本
『おかあさん観察図鑑』クォン・ジョンミン
『名なしのこねこ』とりごえ まり
『アンリくん、どうぶつだいすき』エディット・ヴァシュロン
『インフルエンサーのママを告発します』ジェ・ソンウン
『桃太郎のユーウツ』玄侑 宗久
『犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム』石黒 謙吾
『予言獣大図鑑』長野 栄俊
■学校図書館の現場から
『ダチョウのくびはなぜながい?アフリカのむかしばなし』/ヴァーナ・アーダマ
本書は、「世界の昔話」というテーマで小学3年生へのブックトークで取り上げた一冊です。
「むかし、ダチョウは短い首をしていました」と紹介し始めます。川で虫歯を痛がっているワニが、出会った動物たちに虫歯をみてほしいと頼みますが動物たちは断ります。そこへやってきたダチョウだけは、ワニの口の中に頭を突っ込み、虫歯をつついてあげます。悪いことはしないと言っていたワニですが、朝ご飯を食べていなかったことに気づき、そして…と紹介すると児童の緊張は一気に高まり、続きを読みたがる児童が続出しました。
〔小林美穂さん/学校司書〕
しらさわ夢図書館【電話】44-2112
中央公民館図書室【電話】24-1932
どちらの窓口からも借りることができます。
利用時間:(火)~(土)9:30~20:00 (日)・(祝)9:30~17:00
休館日:2月3日(月)、10日(月)、17日(月)、25日(火)
※休館日や開館時間が変更になる場合もあります。ホームページや電話でご確認の上、ご来館ください。
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