斎藤清美術館のアートテラスで現在開催中の、「版画の現在地(いま)」展。企画者である、地域おこし協力隊の田中卯月さんに、展覧会の見どころについて聞きました!
(田中卯月です!よろしくお願いします!)
■会場をざっと見渡して、すごくバラエティ豊かだなと感じたのですが、何が展示されているのですか。
(田中)筑波大学、日本大学、武蔵野美術大学で版画を専攻する学生の作品23点を展示しています。
■え、これ全部版画なんですか!?
(田中)はい。そう見えない作品もありますよね。でもすべて版画技法で制作されたものです。木版画、銅版画、シルクスクリーン…版画って、本当に色々な種類があるんですよ。技法によって異なる表現の違いに注目して、楽しんでほしいです。
■思い起こせば、斎藤清も木版画家。さらに銅版画やリトグラフ(石版画)も手がけていますし、コラグラフという当時最新の版画技法にも挑戦しています。生み出した作品は実に多彩。どこか、つながっている気がします。
(田中)そうなんです。版画技法は本当に様々で、現在でも多くの人が制作している表現技法です。世界的な版画家である斎藤清の美術館だからこそ、現代まで脈々と受け継がれている版画の「いま」を伝えたいと考えました。
■それで、展覧会タイトルが、「版画の現いま在地」なのですね。
(田中)はい。しかも、版画を自己の表現手段として選び、「今」まさに版画を学び、制作している学生たちの作品です。彼らはいわばアーティストの卵。フレッシュで多彩なイメージから、版画表現の持つ無限の魅力と可能性を感じていただきたいです。
■会場にいると、作品が現在進行形で生み出される熱気のようなものも感じます。作品自体が持つ力もですが、展示の効果もあると思います。企画にあたり工夫した点、苦労した点はありますか。
(田中)「まずは見ること」が、作品を楽しむ第一歩だとは思いますが、どのように制作されたのかが分かると、見方がより一層深まります。そこで、技法ごとの制作手順や道具について解説したパネルを設置しました。文字だけでは伝わりにくいと思ったので、イラストにしています。さらに、パネルの位置も工夫しています。作品だけに集中して見たい。技法を知ってから見たい。あるいは、作者コメントを読んでから作品を見たい。来場者が思い思いの見方ができるようにしています。
■まさに、「版画のいま」に浸れる展示空間ですね。最後に、町民のみなさんにメッセージをお願いします。
(田中)「美術館は知ってるけれど行ったことがない」「もうずいぶん行ってない」という声を、町民の方からいただくことがあります。美術館で活動する地域おこし協力隊として、美術や美術館に気軽に親しんでほしいという想いから、この展覧会を企画しました。本展をご覧になって、「版画って面白いかも」と感じていただけたらうれしいです。心を揺さぶる作品との出会いが、あなたを待っています!
「筑波大学×日本大学×武蔵野美術大学 版画の現在地(いま)」は、来年1月14日まで。ぜひ、お見逃しなく!
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