古来より、山は信仰の対象として地域の人々によって大切に守られてきました。表郷の高木(たかぎ)・三森(みもり)地区にまたがる建鉾山は、山裾が広がる円錐形の山です(写真1)。このような形の山は「神奈備型(かみなびがた)」と呼ばれ、神聖な山として信仰されていました。
建鉾山の山麓には昭和30年代の発掘調査によって、今から1500〜1600年前の古墳時代の石製模造品が多数出土しました。石製模造品は、剣や鏡、勾玉(いわゆる三種の神器)や農具である斧(おの)や鎌などを型取ったもので、祭祀(さいし)に使われたと考えられています(写真2)。石製模造品が出土した場所から山頂付近を見上げると、複数の巨岩が見えます。これらの巨岩は、神様が降りる場所(磐座(いわくら))や、御神体と考えられていたことから、巨岩が見える地で祭祀を行ったと考えられます。
また、山頂には建鉾石といわれる岩があります。伝説では、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征を行った際に、山頂に鉾を立てて、神様を祀(まつ)ったといわれています。
建鉾山は、都々古別(つつこわけ)神社(表郷三森)の奥院(おくのいん)として、馬場(ばば)都々古別神社(棚倉町)から御神幸(ごしんこう)と称する神事行列が明治16年(1883)まで、行われていたと伝わっています。
このような事例から、建鉾山が地域の行事や信仰・歴史の舞台となった場所であることをうかがい知ることができます。
※写真は、本紙をご覧ください。
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