Qちゃん:市内に住む小学生
つぼくら先生:相馬中央病院医師 福島医大主任教授
■内部被ばくと放射性物質
Qちゃん:先生、また福島第一原発のALPS処理水のニュースをテレビで見たよ。ニュースではトリチウムばかり取り上げられているけど、内部被ばくに影響する放射性物質って、それだけじゃないよね?
つぼくら先生:そうだね。原発事故由来の放射性物質では、トリチウムのほかにも主にヨウ素、セシウム、ストロンチウムが健康や環境への問題として挙げられることが多いよ。内部被ばくにはいろいろな種類があるけれど、基本的には空気中や飲食物に含まれる放射性物質を体の中に取り込んだことが原因のものがほとんどだね。
Qちゃん:確かトリチウムは体の中に入ってもすぐに体の外に出るって言っていたよね。それ以外の放射性物質はどうなるの?
つぼくら先生;現在、健康に影響を及ぼすと考えられるのは、トリチウムとセシウムの2種類だよ。トリチウムと同じようにセシウムも体の中に入ると全身に広がるんだけど、代謝と一緒に体の外に出ていくから、特定の臓器や組織にたまっていくことはないよ。とはいえ、今となってはセシウムもトリチウムも体に影響がある量は存在していないけどね。
放射性物質は生物学的半減期が決まっていて、トリチウムは約10日で、セシウムは約70日~100日で体の中に取り込まれた放射性物質の半分は体の外に排出されるんだ。ほかにも内部被ばくに影響する放射性物質はあるんだけど、ストロンチウム、プルトニウムは拡散された量自体がとても少なかったし、ヨウ素は半減期を何回も迎えたことで今は無くなっているよ。
放射性物質が体に与える影響は、放射線の有無ではなくて量が関係しているから、これらについてはあまり気にしなくてもいいよ。
Qちゃん:そうなんだ。先生ありがとう。
出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和3年度版)」
■今回Qちゃんが分かったこと
・内部被ばくに関係する放射性物質はトリチウム以外にもあること。
・ストロンチウム、プルトニウムは原発事故で放出された量が少なく、ヨウ素は半減期が短いため今はなくなっていること。
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