Qちゃん:市内に住む小学生
つぼくら先生:相馬中央病院医師 福島医大主任教授
■トリチウムって測れるの?
Qちゃん:先生、食品や水に含まれるトリチウムって市役所で測ることってできるの?
つぼくら先生:単刀直入にいうと、トリチウムを市役所で測ることはできないよ。
まず、トリチウムが弱いベータ線を放出する放射性物質だということは前にも教えたよね。市役所に置いてある食品用の放射性物質測定器は、放射性物質に含まれるガンマ線を検出することで放射性物質の量を測定しているよ。
だから、ガンマ線を出さないトリチウムが測定器に反応することは、まずないんだ。そもそもトリチウムによる影響は非常に小さくて、健康への影響は考えられないよ。
Qちゃん:でも、国や県では海水中のトリチウムの濃度を発表しているよね。どうやって測定しているの?
つぼくら先生:トリチウムのようなエネルギーの低い放射性物質は、液体シンチレーションカウンタという測定装置を使って測定しているよ。
ただ、海水や雨水などからトリチウムを検出するには、不純物を取り除くために蒸留したり、試薬を加えてトリチウムの反応を見たりと、いろいろな作業を行う必要があるんだ。最低でも半日くらいはかかるし、もっと詳しい結果を出すには1カ月くらいかかることもあるよ。
ちなみに現在公表されているトリチウムの測定結果は、環境省や東京電力のホームページで公開されているから、確認してみてね。
Qちゃん:トリチウムの測定って、すごい時間がかかるし、大変なんだね。先生、教えてくれてありがとう。
出典:
・環境省「ALPS処理水に係る海域モニタリング情報」
・東京電力ホールディングス「包括的海域モニタリング閲覧システム」
▽今回Qちゃんが分かったこと
・市役所で使われている放射性物質測定器では、トリチウムを測ることはできないこと。
・トリチウムの測定には液体シンチレーションカウンタが使われるが、結果が出るのに時間がかかること。
問い合わせ先:放射能対策室
【電話】37-2270
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