■第74回「障がい者の自立に向けて」
本市の遠藤裕美(えんどうひろみ)選手が、パリパラリンピック ボッチャ競技の個人・団体で2つの銅メダルを獲得。脳性まひという重い障がいを乗り越えての快挙は大変誇らしく、大きな称賛を贈ります。
遠藤選手は、24歳のときに、体を動かしたいとの軽い気持ちでボッチャ教室に参加したのがきっかけで、没頭し上達したとのこと。私たちは、障がい者を、とかく助けが必要な方だと捉えがちですが、一定の助けが必要でも、自分で、できる範囲を切り開きたいという強い思い、そして懸命に努力する姿があります。先入観にとらわれず、障がい者の努力を見守り、困難な部分をやさしく支えたいものです。
毎年、市主催の成人式(今は「二十歳の集い」)の日に、それに出席困難な障がい者を対象とした「もう一つの成人式」があります。参加者の抱負が述べられ、多くの参加者から「仕事をして社会に貢献したい」との言葉を耳にします。自分も社会を助けられることを感じたいとの思いを強く感じます。
障がい者の働く場として、二つのパターンがあります。一つは企業や行政機関等で働く一般就労。もう一つは福祉的就労です。就労支援施設などで福祉サービスを受けながら、ものの製造、農作物の生産、データ入力等の請負を行います。売上げに応じて、障がい者に工賃が支払われ、やりがいにつながっていくのです。市では、「いきいき!ふくしマーケット」を市役所やイベントでたびたび開催するなど、製品の販売を応援しています。製品の中には、贈答品になる高品質のものもあり、記念品等に活用しています。民間でも、いちいさんが専用売り場を設置、福島銀行さんは社員食堂運営を就労支援施設に委託、市交通安全母の会等は製品を購入活用しています。
8月29日からの2日間、「いきいき!ふくしEXPO(エキスポ)」を開催、就労支援施設と企業等とのマッチングを行いました。両者の取引が多数成立することを願っています。
障がい者がつくったものだから購入するという関係は長続きが困難です。相応の金額を払う価値ある製品だから購入するという関係にしていくことが大切です。市では、市内パティシエさんに協力いただいて、就労支援施設の新たなスイーツづくりを応援しました。
障がい者の自立を応援していくには、まずよく理解すること。ボッチャなどを通じて障がい者と交流し、理解を深めてください。そして、仕事を認め、購入して励ますこと。市民や事業所の皆さんが少しでも製品・サービスの購入を増やすことが、障がい者の自立につながっていきます。
福島市長 木幡 浩(こはたひろし)
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