■石附 若菜さん Ishizuki Wakana
自身の発達障がいと向き合いながら、絵画作家として活動し、個展なども開いている石附さん。活動への思いなどを伺いました。
◇自分に「合う」ものではなく、自分に「ある」ものを大切に
子どもの頃は、好きな絵を描くというより、授業中に教科書の余白に模様を描いて埋めるようなことをしていました。
大人になり、発達障がいの影響もあって自分に合う仕事となかなか出会えず、就労支援センターに通っていた7年前。気晴らしにノートに描いた絵を見た先生が、「これすごいよ!コンクールに出してごらん」と褒めてくれたんです。うれしくて、あるコンテストに出してみたら賞をもらえて。そこから自信が湧いて、絵を描くことが好きになっていきました。
その後、「才能に障がいはない」という理念を掲げるアートビリティ事業を知りました。障がい者アーティストの優秀な作品を集めて、企業が作る冊子などに有償で使ってもらうものです。この事業に私の作品も入れてほしいと思い、厳しい審査をクリアして、今はアートビリティ作家として活動しています。
実は8月、今年のアートビリティ大賞グランプリに選ばれました。うまくいかずに悩む時期もありましたが、いつも支えてくれる家族と応援してくれるファンの方々に、良い報告ができました。
私にとって絵を描くことは出会うこと。1枚の絵を褒められて、自分の中にある価値に気付けたら、いろんな人と出会える人生に変わったんです。最近では、発達障がいを持つ子の保護者に、当事者として講演する機会もいただきました。
これまで支援される側だったけど、今度は私が支援する番。これからは好きな絵を描くだけでなく、いろんなことに挑戦して、自分に「ある」ものに目を向ける大切さを伝えていきたいですね。
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