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市長コラム

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福島県郡山市

■六月
祝日無しの6月を迎えました。6月は「水無月」であるばかりか、「旗日無月」でもあります。近年顕著な梅雨前線活発化による水害対策には改めて気を引き締めねばなりませんが、反対に空梅雨で猪苗代湖の水位が下がり、安積疏水の取水制限に至らぬことを祈るばかりです。
このように「あちら立てればこちら立たず」は枚挙にいとまがありません。例えば「一身独立して一国独立す(個々の国民が独立して、その国の独立を保つことができる)」という福澤諭吉の言葉がありますが、一人の独立が他の独立と両立するとは限りません。また、中国の五経の一つ「礼記(らいき)」に「修身斉家治国平天下(天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭を整え、次に国家を治め、そして天下を平和にすべき)」との訓(おし)えもありますが、家族一人一人が身を修めても、修め方が異なれば、海幸彦と山幸彦、カインとアベルのように、家族内の争い事にもなりかねません。部分最適が全体最適をもたらすとは限らず、部分最適、全体不最適という事もあります。夏目漱石も小説で「智に働けば角が立つ、情に掉(さお)させば流される」と記しています。
都市計画も然り。国土には平野から山地まで起伏があり三次元感覚を要するのに、なぜか都市計画は二次元の平面図。建築物は建築基準法で三次元感覚の審査を経ますが、都市計画は二次元の図面で評価されます。気候変動下における災害多発の現代には、なおさら三次元感覚での都市計画が必要。さらに人生100年時代には時間軸を加えた四次元感覚が必須となります。世の法制も四次元思考で制定され、フィードフォワードで見直される事、期待いたしましょう。
郡山市長 品川 萬里

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