12月3日~9日は障がい者週間です。障がいによる差別を解消し、全ての人がお互いを尊重しながら共生できる社会を実現するために私たちは何ができるでしょう。
◆事業者の合理的配慮の提供が義務化
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)では、障がいを理由とした不当な差別的取扱いの禁止と「合理的配慮の提供」が定められています。
障害者差別解消法が一部改正され、今まで努力義務とされていた事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が、令和6年4月1日から義務化されます(3ページ参照)。
◆合理的配慮の提供とは
日常生活や社会生活で障がいのある人から、社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応を求められたときに、過度な負担とならない範囲で対応を行うことです。
具体的な取り組みについて、障がい者雇用に力を入れている笠原工業(株)の皆さんにお話を伺いました。
―就労受け入れのきっかけ
石井さん:就労支援事業所から体験学習の依頼を受け、実際に作業を体験してもらったところ、作業をスムーズに行えたことが就労受け入れのきっかけとなりました。
10年前から障がいのある人の就労受け入れを始め、現在は6人が就労しています。
―合理的配慮の取り組み
石井さん:一人ひとりに人権と自由があり、障がいのある人も、もちろん一緒であるという考えを職場で共有しています。
仕事は習熟度を確認しながら新たな作業を追加するよう丁寧に時間を掛けて覚えてもらっています。
今泉さん:口頭での連絡や説明だけでは理解しにくいという申し出があったため、文書や図などを作成し「目で見て理解しやすい工夫」や、作業台の設置など「個人に合わせた作業しやすい環境」を整備しています。更に、相談係を設け、不安や悩みなどを気軽に相談しやすい雰囲気づくりをしています。
石井さん:一人ひとりの個性や特性を理解した上で、面談を行い、コミュニケーションを取りながら、本人に合った仕事内容や進め方を決めていくことが大切です。
また、就労支援事業所との連携や助言を受け、継続した就労に向けて日々改善することが重要です。
○「仕事のやりがい」を教えてください
製品に汚れや不良品がないかの検査や梱包(こんぽう)作業を行っています。作業内容に悩んだときは先輩たちに教えてもらえますし、仕事を任されたときはやりがいを感じます。
また、きれいに梱包ができたときに「きれいだね」「バッチリだね」と言ってもらえると、とてもうれしいです。
◆建設的対話を心掛けて
合理的配慮の提供は、障がいのある人と事業者の「建設的対話」が重要です。社会の中にあるバリアに対して、障がいのある人の事情や置かれている状況に応じて、どのような解決策があるのか、相互理解が深められるよう対話を重ねて、考えていくことが大切です。
障害者差別解消法の制度など詳しくは、内閣府ホームページをご覧ください。
●事業者の合理的配慮の提供が義務化されます
「合理的配慮の提供」の具体例
▽物理的環境への配慮(例:肢体(したい)不自由)
・障がいのある人からの申し出…飲食店で車椅子のまま着席したい。
・申し出への対応…机に備え付けの椅子を片付けて、車椅子のまま着席できるスペースを確保した。
▽意思疎通への配慮(例:弱視難聴)
・障がいのある人からの申し出…難聴のため筆談によるコミュニケーションを希望したが、弱視でもあるため、細いペンや小さな文字では読みづらい。
・申し出への対応…太いペンで大きな文字を書いて筆談を行った。
▽ルール・慣行の柔軟な変更(例:学習障害)
・障がいのある人からの申し出…文字の読み書きに時間がかかるため、セミナーへ参加中にホワイトボードを最後まで書き写すことができない。
・申し出への対応…書き写す代わりに、スマートフォンなどで、ホワイトボードを撮影できることにした。
合理的配慮の提供は、あらゆる事業者が必ず行うものではなく個別の場面に応じて異なります。
出典:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet-r05.htmlを加工して作成
→社会福祉課
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