五城目町の皆さま、Aloha!集落支援員の八嶋美恵子です。例年より暖かい3月。山菜や冬眠中の動物たちの行方が気になる今日この頃です。
先月のコラムで、この町が魅力的な理由は、「暮らしの導線上で、ちょっとした『対話』が自然と起こる環境がたくさん育まれていること」と書きました。
五城目町のそれぞれの集落や馴染みの場所で育まれてきた関係性が、実はこれからの暮らしを支える大きな鍵になっていくのではないかな、と感じています。
というのも、サービスとしての社会保障、介護、福祉などに限界のある今日、従来のように支援を一方的に「する側・される側」に分かれるのではなく、「できる人が・できるだけ」支え合う仕組みが、サービスを提供する側にとっても受ける立場になった時にも心地よいのではないでしょうか。
そんな時「ちょっとした『対話』のできる関係性」が、互いにちょうど良い距離感で支え合う、ケアのひとつの形になるようです。最近気になって読んだ本に、以下のような表現がありました。
「ケアする都市とは、ケアワークが分散された様々なコミュニティのエコシステムであり、高度に専門化した専門家から、特別な知識もなく時間もないが多くの善意を持つ家族、友人、隣人まで、様々なスキルや責任を持つ多くの人びと、グループ、組織が関わっている」(エツィオ,p189)
「向かわなくてはならないのは…人々が能動的になり、共同でき、コモンズを生み出したり、互いのため・地球のためのケアを生み出したりする能力を支える。そんなサービスがあるような社会である」(同,p151-152)
このような社会をつくるには、自然に任せるだけではなく、一人ひとりが「ちょっとずつ」意識して互いをケアし合う雰囲気づくりが必要なのだと思います。
わたしは、日々出逢う皆さまの暮らしの知恵やお互いの支え合いの工夫を教えていただいていると、それができそうだと思えてきます。
参考:エツィオ・マンズィー二『ここちよい近さがまちを変えるケアとデジタルによる近接のデザイン』(2023)
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