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町長日記抄

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秋田県井川町

齋藤多聞

脱炭素や森林活用に向けた取り組みを秋田で進めるためにも、一緒に先進地の状況や課題を視察に行きませんかと、五城目町の友人に誘われて、8月下旬にヨーロッパを訪れた。目的地はドイツ南西部にあるフライブルク郊外のヴァルトキルヒ。フライブルクは、フランスとスイスの国境に近い人口23万人の都市だが、ヴァルトキルヒは、そこから電車で20分程の人口2万人の山に囲まれた町。フライブルク一体は、1990年代から環境保護の先進的な取り組みを行ってきた歴史があり、環境首都フライブルクとも言われるそうだ。現地在住の森林環境コンサルタントの池田憲昭氏にアテンドと通訳をお願いし、その町から100キロ圏内で取り組まれている事例を中心に、森林活用、農業、太陽光とバイオマスによる再生可能エネルギー活用、地域内エネルギー循環の取り組み等について学んできた。視察先は、市民が起こしたエネルギー株式会社、住民によるエネルギー共同組合、農業施設など。その多くが、住民自らが立ち上がり、行政だけに頼らない地域作りを行なっており、住民意識の高さに感銘を受けた。もちろん文化や歴史によるところも大きく、日本にそのまま取り入れることは難しいものの、考えされられる点が多くあった。
池田氏の著書「多様性〜人と森のサスティナブルな関係」では、日本の日照量はドイツの1.2〜1.5倍、雨も多く、土壌も豊かで、樹木が成長する条件がドイツよりも遥かに優れている。生物の多様性もあり、森林の成長、森林業の実践にことほど恵まれている国は多くない。森の面積もドイツの2.5倍でとてつもないポテンシャルを持つことが語られており、視察だけでなく、池田氏本人のお話を伺いたいという思いも強かった。この視察に参加したのは、IT、教育、コンサル、建築、再エネ等、異なるバックグランド持つメンバー。池田氏を含め、脱炭素の背景にある、世界的な気候変動、エネルギーの安定性や安全性という導入から始まり、持続可能な社会とはどんな社会なのか、地域内における価値創出、森林活用、人材育成など様々な分野の議論が、それぞれの視点から交わされ、大変有意義な時間となった。
今回の視察がきっかけとなり、11月に池田氏が来秋される予定である。是非改めてお話を伺い、学びを深めたいと思う。

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