今回の衆議院選挙は、政権与党である自民党と公明党が過半数割れの大敗となり、政権交代の可能性をみせた。選挙前後の報道のとおり、政治とカネの問題に対する自民不信であることは明らかだ。特に、選挙中盤に非公認となった議員の所属支部への2千万円が支給されたことが発覚し、致命的なダメージとなったことは間違いないだろう。普通の感覚では、カネの問題で逆風となっている最中、何で?と疑問しか浮かばず、党内のガバナンスが欠如しているとしか感じられないのが残念でならない。
議席を伸ばしたのは立憲民主党であるが、政権を託そうと積極的な支持がどれくらいあったかはわからない。比例区の得票数をみると、前回の衆院選から自民党が533万票減、公明党が114万票減と落ち込んだが、立憲は7万票増にとどまった。付け入る隙は多分にあったはずだが、批判一辺倒で具体的な話が見えてこなかったせいだろうか。一方、国民民主党が357万票増と躍進したのは、所得を上げるという具体的な話が、有権者に届いたからだろう。年代別の比例区の投票先を見れば、特に20代、30代での支持が広がったことがわかる。SNSの活用が上手く、若年層と親和性があるのが強みとなった。政策実現に向けて、これからの国政での立ち位置や、関わり方に、大きな期待が寄せられているが、どうバランスを取っていくのかは注目したい。
これからの政権の枠組みがどうなるのか、協議が進んでいるようだが、どうやら政権交代も連立再編もなさそうだ。石破首相も辞めずに、少数与党として首班指名に臨み、野党もまとまらずに、決選投票で石破首相が過半数を取るという流れが既定路線か、それともビックリするような展開が残されているのだろうか。いずれにせよ政局は不安定となった。首相が変わらないのであれば、年明けの通常国会で予算を成立させるまでは続投、その先は、いつ何があってもおかしくはない状況である。物価高、安全保障、少子化など、目の前にある課題に向けて、政治に対する国民の期待が上向くことが、与野党問わず望まれる。
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