■珍しい「ライチ」の栽培が…こんなに近くで
新聞の地域ページに「ライチ」栽培の記事が載っていた。ふだんなら、見出しだけで読み過ごしそうな記事だが、その栽培する場所に目が留まった。そもそもライチは輸入物との観念がある。それでも、九州の一部地域で栽培はしているらしい。浅薄な知識をネットに頼る。
国産ライチは国内流通量のわずか1%に過ぎなく、その生産量のほとんどが、宮崎、鹿児島、佐賀の3県が占めるとある。ましてや首都圏での栽培となれば、それは非情に珍しいことのようだ。「はて?食べたことあったかな」と首を傾げるぐらい、自分には馴染みの薄いフルーツだが。珍しい「ライチ」を栽培している農家が、そう遠くない場所でとなれば否が応でも興味を惹かれる。
記事に依ると…栽培を思い立つきっかけは「生ライチ」の衝撃。出張先の台湾で食べた生のライチのおいしさに感動し、土地を借りて栽培を始めるに至ったとある。農業の基礎は農業大学校へ一年間通い習得。しかしながらライチを生産する農家が国内に少ない。それにもまして、国産ライチは付加価値が高く、生産者は栽培ノウハウを厳しく管理する。そのために栽培方法を学ぶ所がない。ならばと台湾に何度も足を運び、日本の気候や風土に合った栽培方法を模索。「とびきりおいしいライチ」の生産にこぎつけたと。またマンゴーも栽培する。なかでも「蜜雪マンゴー」を日本で栽培しているのはここだけと言う。栽培を始めてまだ3年という若い就農ご夫妻。「初夏から夏はライチとマンゴー、秋には洋梨、冬から春はイチゴと、四季折々の果物を味わってもらえるようになったらいいですね」と展望を語る。
この土曜日にその場所を訪れてみた。「周辺は里山と谷津田が広がる自然の宝庫となっている」との触れ込みどおり。なだらかな丘陵地を平らにしたであろう耕作地が広々としていた。その耕作地の中を予め用意した地図を手に進む。と、それらしき施設が見えてきた。さらに近づくと「○○ライチ」と看板がある。今年から直売を始めたという○○農園。しかし、土曜日というのに人の気配がない。「今年のライチは完売しました」直売所の入り口に張り紙があった。
国産ライチの収穫時期は6〜7月頃のひと月余りと短く、首都圏にライチ農家はほとんどおらず、新鮮な生ライチを食べるハードルはかなり高いという。
参考までに、輸入ものは検疫で数時間熱風を当てるなどの殺虫処理がなされる。スーパーなどで目にするライチは「99%近くが過熱処理された輸入もの」。生ライチを食するには中国や台湾などの生産国か、国内産を手にいれるしかないそうである。
そう言われると、是が非でも国内産の「生ライチ」を食べてみたくなりませんか。
naru
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