お医者さんが今伝えたいまめ知識
■そのマスク着用は必要ですか
阿部耳鼻咽喉科医院 阿部隆医師
昨年5月に新型コロナが5類感染症になってから、マスク着用は個人の判断に委ねられることになりましたが、最近の新聞のアンケート調査によると、密閉された場所や大勢の人が集まるところでは、50%以上の人が今なおマスクを着用したいと思っているそうです。厚生労働省の要請や周囲の人からの同調圧力がなくなってもマスクをしたいと思う背景には、「感染が怖い」以外の心理的要因があるように思われます。
マスクで顔の下半分を隠すと、喜怒哀楽の表情が分からなくなり、自分の気持ちの変化を相手に悟られないある種の安心感、時には自分の存在さえ隠せるような錯覚が得られます。しかし、このマスク着用がこれからの社会の新しい日常で本当に良いのでしょうか。発達途上にある子どもたちへの影響が心配です。
私は、耳鼻咽喉科は『聞く・話す』というコミュニケーションに深く関わる診療科だという信念から、自院を開業以来、中高年齢の難聴者に対する補聴器外来を、20年前からはことばの発達に問題がありそうな児童に対する言語発達外来を行ってきました。コミュニケーションには、相手に口元を見せて、ゆっくり・はっきり・区切って話すことと顔の表情が大切です。新型コロナ2類指定下でのマスク着用は、前記二つの特殊外来の患者さんに大きな困難を強いることになりました。
マスク着用は最も有効な感染予防策ですが、それが持つ負の側面に思いをいたし、マスクを着用するか否かを細かく判断したいと私は思っています。
横手市医師会HP
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