横手市議会12月定例会が、11月25日から12月11日までの日程で開催されました。その開会にあたり、髙橋市長が行った所信説明の中から、市民の皆さまの生活に関わりの深い内容を抜粋してお知らせします。
(市報よこて掲載用に一部表現を変更しています)
■はじめに
この夏の大雨を受け心配された農作物は、農家の皆さんのご尽力により、コメの作柄は『やや良』となりました。コメの概算金が大幅に増額されましたが、肥料など資材高騰の影響が続いていますので、引き続き関係機関と連携しながら、農業所得の向上に向けた対策を講じます。
民間調査会社が発表した都道府県の『地域ブランド調査2024』では、秋田県の順位が昨年の27位から18位に上昇しました。当市でも、これまで出前かまくらなど首都圏や関西圏でのイベントによる情報発信をはじめ、先日には、県知事と共にタイ王国を訪問し農畜産品の輸出や観光誘客に向けたトップセールスを行っており、引き続き積極的に横手の魅力発信に努めます。
このたび、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術『伝統的酒造り』がユネスコ無形文化遺産に登録されました。酒どころ秋田において、当市には5軒の酒蔵があり、秋田の日本酒を築いてきた『山内杜氏』のふるさととして酒造りの伝統の技が引き継がれています。今後は、日本酒はもちろん、こうじ菌を使って作られる漬物やみそなど発酵食品全体への注目度が高まることが期待され、発酵のまちづくりを牽引(けんいん)してきた当市としては、この機を逃さず、『発酵のまち横手』の魅力をアピールしていきます。
さらに、昨年9月には、横手市生涯学習館Ao‐na(あおーな)ならびに当市の農業と商業の中核を担う団体がそれぞれ入居する複合ビルが、横手駅東口にオープンしました。横手駅東口第二地区市街地再開発事業により整備された施設の相乗効果により、横手駅周辺では新たな人の流れが生み出されており、当市の魅力を押し上げるものと確信しています。今後も当市の魅力創出のための歩みを止めることなく進めていきます。
■令和6年度事業などの進捗状況
▽第3次横手市総合計画の策定
市政運営を図るための長期的なまちづくりの指針として、市の最上位計画である横手市総合計画は、現行の第2次計画が令和7年度をもって満了となります。このため、令和8年度を初年度とする新たな総合計画の策定に向けて、広く市民の皆さんに参画いただきながら策定作業を進めています。市を取り巻く状況は、人口減少と少子高齢化の急速な進行によって大きく変化しています。新たな総合計画は、今後10年間の指針として、多様化・複雑化するまちづくりの課題に迅速かつ的確に対応できる計画となるよう、引き続き市民の皆さんのご協力を得ながら検討を進めていきます。
▽農業振興
今年度の農作物に関しては、高単価での取引となったものの、出荷量の減少により、昨年度を下回る販売額となった品目もあることから、地域農業の維持と複合経営の確立に向けた支援が必要と捉えています。さらに自然災害や農業資材の高騰などの影響により、農業経営にとって厳しい状況が続いていますので、今後も国や県と連携を図り、農業者の皆さんが安心して営農を継続できるよう対策を講じます。
▽雪対策
今年度の除雪体制については、例年同様に早期の降雪に備え11月1日から出動ができる体制を整えています。近年は気候変動の影響を受け短時間で集中的に大雪が発生する事例が増加し、当市でも異常な降雪量を記録することが多くなってきているため、安全・安心な道路交通の確保に向け、効率的できめ細やかな除排雪作業に努めていきます。
▽横手市生涯学習館Ao‐na
昨年11月12日に来館者数が10万人に達しました。中高生を中心に幅広い年代の方々に利用され、休日は550席ほどある座席がほぼ満席となっています。年間の目標来館者数を30万人としていましたが、想定を上回る来館者数に横手駅東口の人の流れの変化を実感しています。引き続き、誰にでも開かれた場所として、いつでも心地よく集える空間を提供し、新たな学びや人、文化と出会える企画や展示などを行い、多くの方々に利用いただけるよう努めていきます。
▽横手駅周辺整備
横手駅東口第二地区市街地再開発事業では、旧よこてシャイニーパレスや横手ステーションホテルの解体工事が始まり、今春には立体駐車場や賃貸住宅・分譲住宅の新築工事に順次着手する予定とのことです。
なお、市街地再開発事業と併せて進めている都市再生整備事業では、横手市生涯学習館Ao‐na周辺の歩道改良工事が完成しましたが、引き続き、再開発事業区域周辺の歩道整備と交差点改良を進めていきます。横手駅東口周辺を利用される皆さんにはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
▽大型公共施設整備事業
横手体育館の整備では、1階の躯体(くたい)工事が行われ、建設現場近くでは大規模工事が進んでいる状況がいよいよ見えるようになってきました。進捗については概ね順調に進み、令和8年3月の完成に向け、工事の安全、品質の確保を図りながら引き続き事業を推進していきます。
また、横手市民会館整備事業では、財源について、新たな補助金や有利な地方債の活用を目指してきましたが、国の情勢など不透明な要素も重なり、実施年度に確実に確保できると断言できる状況ではなくなりました。また、資材高騰や賃金上昇による人件費の増加などが今後も長期的に影響することを考慮すると、財政的に相当厳しくなるものと見込まれ、事業費の大幅な増額、将来の財政負担の増などを総合的に判断し、苦渋の決断ではありますが、事業の一時中断を決定しました。今後は、国からの支援を活用しつつも、将来の市民会館整備に向けた基金を創設するなど、自主財源をしっかりと確保しながら、事業着手できる時期を見定めていきますので、ご理解をお願いします。
▽公共温泉施設
市の公共温泉施設のうち、指定管理者制度の導入を目指す『ゆっぷる』『さくら荘』『鶴ヶ池荘』は、複数の民間事業者より施設の利活用方法に関する事業計画などの提案をいただきました。評価委員の意見を参考に優先的に交渉する事業者を決定し、施設経営や収支計画に関する確認など協議を重ねているところです。
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