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(巻頭特集)伝統を継承する~羽立大神楽~

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秋田県能代市

二ツ井町字飛根の夏。7月24日に富根愛宕神社例大祭が行われました。この例大祭で悪魔払いの役を担うのは、羽立地区の民俗芸能「羽立大神楽」です。
今回の特集では、羽立大神楽の魅力を伝えるとともに、伝統を受け継ぐ若者たちや保存会の皆さんについてご紹介します。

富根愛宕神社例大祭の様子です。富根報徳番楽や神輿とともに富根の街中を練り歩いたあと、愛宕神社の境内で舞を披露します。神社の参道では先頭に立ち、悪魔払いの意味を込めて勢いよく社殿まで突進する形で舞を披露します。迫力ある舞を見ようと会場には観客が多く集まりました。

■羽立大神楽ってなに?
◇羽立大神楽の特徴
獅子頭、赤・白・黒の幕、大小の太鼓、笛、鐘が使用されます。2人で踊る獅子舞は息を合わせることが大切です。獅子を大きく見せるために、幕を大きく動かすことで、力強さを表現しています。
演目が多彩にあることも特徴で、獅子舞だけで祓いの舞や本舞、天の舞など6種類あり、獅子舞のほかに、三勝、おかめ舞などがあります。かつてはもっと多くの種類があったそうです。
毎年7月24日に行われる富根愛宕神社例大祭では、羽立大神楽が先頭になり、富根地区のほかの民俗芸能と一緒に富根のまちなかを、行列をなして巡行します。その後、神社の参道で舞を披露します。また、8月13日のお盆には、墓地で先祖供養のために舞ったあと、地域の中心部で現在行うことができる全ての演目を披露します。
このほか、民俗芸能発表会や、各種イベントで演目を披露することもあります。

◇羽立大神楽の歴史
確かな文献はありませんが、その昔、一人の至芸に達した芸人が羽立地区を訪れたことから始まったと言われています。その芸人の人柄や芸に魅せられた地区の人たちが、芸人から芸を教えてもらったそうです。
昭和58年2月12日に、秋田県指定無形民俗文化財に指定されました。

■若者たちの声
羽立大神楽保存会のメンバーに神楽に対する思いや、魅力などについて話を聞きました。
「観客と一緒に盛り上がれる」「後継者、担い手不足が課題」「ずっと続いてほしい」
羽立大神楽に対するたくさんの思いを話してくれました。この思いが、羽立大神楽の今につながっていることが分かりました。

◇観客と一緒に盛り上がれる楽しさ
山谷健太郎さん
小学生の頃に、三勝という演目で参加し始めました。獅子舞の演目には、小学校高学年から、笛で参加するようになりました。
羽立大神楽は独自性が強く、他の地域で似たような民俗芸能を見たことがありません。ステージや踊り場で披露するというよりも、観客に囲まれた場所で踊ったり、観客と触れ合ったりと、観客との距離が近く会場全体で盛り上がれることが魅力だと思います。羽立大神楽の獅子に噛まれると無病息災になるという言い伝えもあるんです!
後継者不足はずっと課題だと感じています。私が中学生の頃、ほかの民俗芸能の方から「若い後継者がいてうらやましい」と言われましたが、その頃から、私より若い参加者はほぼいません。保存会の中では今も若手メンバーです。もっと若手の会員が増えてくれると嬉しいです。

◇笛の音色に引き寄せられて
山谷健吾さん
私が羽立大神楽と出会ったのは小学4年生の頃です。最初は大人の皆さんが踊ったり、太鼓を叩いたりしているのを見ているだけでしたが、そのうちにいろいろ教えてもらえるようになりました。そして気が付けば踊れるようになっていました。
神楽の踊りを見たり実際に踊るのが好きな人もいれば、太鼓や笛の演奏をするのが好きな人などいろいろいると思いますが、私は笛の音色が好きです。特に「七の段」という演目が、踊りも好きですが太鼓とともに聴こえてくる笛の音色が神楽の中で一番好きです。「今年も神楽の夏がやってきたな。楽しい気分になってきたな」と思わせてくれます。踊るのは体力を使うので大変です。
近年は神楽の若い踊り手がほぼいない状況がずっと続いています。子ども達や若い世代の方に神楽は楽しいと思ってもらえるように、神楽がずっと続くように、積極的に参加し、声かけを頑張っていきたいです。

■愛される羽立大神楽を続けるために
リズミカルな太鼓や笛の音、力強い舞で人々を魅了する羽立大神楽。能代市にある民俗芸能では唯一の大神楽です。
現在、少子高齢化で各地の民俗芸能の担い手不足が問題となっていますが、羽立大神楽も例外ではありません。保存会の会員も高齢化が進み、舞を踊れる人が少なくなってきました。
担い手不足のほかに道具の問題もあります。獅子の頭は口で支えて動かしていますが、激しい動きをするため、老朽化が進んでいます。舞に支障が出てしまう前に補修や更新したいと考えていますが、獅子の彫刻を行える職人がなかなか見つかりません。
例大祭やイベントなどで披露するときに、拍手がおこったり、「神楽だ!」と大人から子どもまでさまざまな年代の方から言ってもらえるのがとてもうれしいです。これからも羽立大神楽で地域を盛り上げていきたいと思います。そのためにもこの伝統を若い世代へ受け継ぐ必要があります。地元地区に限らず、担い手を募集しています。まずは、実際に見て、体験して、羽立大神楽について知ってほしいです。(羽立大神楽保存会)

■イベントに登場します!
羽立大神楽をこの機会にぜひご覧ください。イベント前の平日に、練習も行っています。見学や参加などを希望の方はお問い合わせください。

◇きみまち阪100周年記念イベント
能代民俗芸能発表会(予定)
日にち:11月3日(日)
場所:きみまち阪公園
※雨天時は会場が変更となります。

能代民俗芸能アーカイブでは過去に披露された羽立大神楽の演目を動画で視聴できます。
ぜひご利用ください。(詳細は本紙参照)

問合せ:羽立大神楽保存会(工藤)
【電話】090-2026-2711

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