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(巻頭特集)暮らしに木の温もり 美しき秋田杉桶樽(おけたる)1

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秋田県能代市

木目が美しく、木の香りが心地良い秋田杉桶樽。最盛期は県内のほぼ全域で作られていました。能代市は、その代表的な産地の一つ。今も熟練の職人たちが伝統と技を受け継いでいます。現代の暮らしにも溶け込み、ファンを増やし続ける秋田杉桶樽の魅力を紹介します。(詳細は紙面2、3、4ページ参照)

■県内全域に産地を形成
昭和59年、秋田杉桶樽は県内では樺細工、川連漆器、大館曲げわっぱに次ぎ4番目に国の伝統的工芸品に指定されました。現在は本市のほか大館市、北秋田市などで作られています。
その歴史は古く、秋田城遺跡からは15~16世紀のものと思われる桶の側板や底板などが発掘されています。最盛期は県内全域に産地を形成し、全国有数の桶樽の産地として栄えていました。
昭和30年代までは、たらいやおひつ、洗い桶、漬物樽などが各家庭で使われていましたが、プラスチック製品やガラス製品などの容器革命の中で需要の伸び悩みが続きました。
しかし、現代の生活様式に合わせた商品作りや通信販売の拡大などにより、近年再び脚光を浴びているといいます。生活に潤いをもたらし愛着を持って長く使用できる製品が求められ、全国各地から注文は絶えません。

◆桶と樽の違いは?
桶は木目が真っすぐの板を使用します。これは柾目といい、年輪に対して直角に木取りした材のことです。水分を外に逃がしやすいほか、木の狂いが少ないことからおひつなどの長く使う桶製品に適しています。
一方、樽は年輪と平行に木取りした板目の材を使い、ふたが付いているのが特徴。水分が外に逃げにくいので、酒樽やみそ樽などの貯蔵用、運搬用の樽製品に適しています。桶も樽も竹や銅のたがで周囲を締めて仕上げます。

◆秋田杉桶樽ができるまで
大きく分けて6つの工程で作られています。
(1)素材加工
秋田杉の丸太から柾目、板目の材を取ります。ナタなどを使い「榑(くれ)」と呼ばれる短冊状の板を作り、長期間乾燥させます。

(2)榑加工
榑を銑(せん)と呼ばれる両手持ちの刃物で寸法に合わせて削ります。厚さが決まったら正直(しょうじき)という大きなかんなで桶樽特有の丸みを出しながら、隣り合う榑同士がぴったり合うように削ります。

(3)たが加工
真竹を縦に細く割り、表皮を削り取る竹磨きなどを施します。たがのかかる位置の外周に合わせ、形状、美観を考慮してねじり編みまたはぐみ編みと呼ばれる編み方でたがを作ります。

(4)組み立て・仕上げ
桶は、榑に竹製のくぎを差し込みながら円形状に並べて桶側を作ります。樽は円形の仮たがに沿って榑を並べます。これを榑立てといいます。締め木と木づちを使ってたがを絞め、底板をはめます。

(5)付属加工
ふたや底、竹くぎなどを加工します。

(6)塗り仕上げ
蜜蝋や柿渋などで表面を整えます。

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