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自治体の皆さまへ

(巻頭特集)能代の未来を担う若手農業従事者

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秋田県能代市

白神山地の恵みをたっぷりと受けて営まれる能代の農業。少子高齢化に伴う担い手不足や耕作放棄地の増加など、その環境は年々厳しさを増していますが、ここ5年では89人が新たに就農し、ネギやキャベツなどを生産しています。自然が相手の大変さを実感しながらも、日々農業と向き合う若手農家の声を聞きました。

■農業に興味を持ったらどうすればいい?
◇自治体に相談
独立就農や雇用就農など希望の就農方法に応じてアドバイスします。

◇農業を体験
農家と求職者を1日単位で結び付ける「1日農業バイトアプリ」などがあります。

◇研修を受ける
農業技術センターなどで2年程度の研修を実施。基本的な知識と技術が学べます。

◇過去5年の就農者数

令和5年度は30代以下が半数以上を占め、生産する作物はネギが多数でした。

■就農3年目ネギ栽培
今野祐一(ゆういち)さん
◇年々出来良くさらに上へ
大学卒業後、東京で会社員として働いていたなか、他の道に進もうかと考え始めました。それまで実家の農業を継ぐことは全く考えていなかったけれど、地元で農業を始めるのも一つの道だと思い、4年前に戻ってきました。
作るのは能代を代表する野菜の一つ、ネギ。2haの畑で夏扇パワーという品種をメインに栽培しています。新規就農でこの規模は大き過ぎると初めは心配されました(笑)。でも、研修で2年間お世話になった農事組合法人が大規模だったことから安定した収入を得るためにこの規模で頑張っています。
広い分、作業は大変。4月から12月は、ほぼ休みなく作業を進めます。近年の暑さへの対策や害虫の防除など気を付けなければいけない部分が多く、農業の大変さを痛感しています。
うまくいかないときには、研修先の方に相談したり若手農家と情報交換したりしてなんとか乗り越えてきました。年々、出来は良くなっている気がします。手をかけた分、納得のいくネギができたときはやりがいを感じます。令和6年からは新たに3品種の作付けを試みています。より良いネギ作りを目指して、これからも研究を重ねていきます。

■就農6年目野菜・花き栽培
鈴木祐之(まさゆき)さん美里(みさと)さん
◇夫婦二人三脚客の声を力に
夫婦で野菜と花きを栽培しています。二人の出会いのきっかけも農業。お互いに実家の農業を継ぐために参加した県の研修が縁でした。2年の研修期間中に結婚。修了と同時に夫婦で就農しました。
私は野菜部門、妻は花き部門を担当しています。就農して今年で6年目ですが、うまくいかないことばかり。毎年〝1年生〟です。
初年度は干ばつで、カボチャと小菊が思うように収穫できませんでした。1年目の失敗を踏まえ、翌年は灌(かん)水チューブを採用して水やりに気を付けましたが、多雨となり反対に排水に苦労しました。研修時代の同期に相談しようにも、コロナ禍で交流できなかったのがつらかったです。
そうした中で助けになったのが地元の先輩農家さん。畑を見せてもらうなどしてアドバイスをもらいました。娘の美友(みゆう)が生まれて子育ても同時進行。両親のサポートもとても大きかったです。
支えになるのはお客さんの声。「野菜おいしかったよ」「花が長持ちして助かる」といった言葉が何よりうれしいです。私たちは素直に農業が大好き。失敗も多いけれど、これからも支え合いながら頑張っていきたいです。

ネギ農家の今野さんの研修先となった農事組合法人轟ネオファームの髙橋洋介さんにもお話を聞きました。「教える側も勉強になる」と話し、地元農業の新たな力に期待を示します。
■農事組合法人轟ネオファーム
常務 髙橋洋介(ようすけ)さん
◇次世代へ農を通じてつなぐ希望
市からの要請を受け、これまでに新規就農を目指す研修生を2人受け入れました。研修期間は1年と2年。この短期間で農業のすべてを教えるのは厳しいと感じ、こちらもプレッシャーがありました。
2人とも熱心に頑張ってくれました。2年受け入れた今野さんは疑問があれば何でも質問する人。真剣な気持ちが伝わってきました。研修を終えた今でも、畑の調子が悪いときはよく来ていますよ。教えることで、反対に気付く部分もあり、こちらが勉強になっています。
新規就農したいという人が増えることはうれしいこと。自社にも、農業系の高校を卒業して入社してくれた若手が頑張っています。若い力は貴重。一緒に農業を盛り上げていけたらいいですね。

◇轟ネオファーム(能代市轟)
平成22年設立。園芸メガ団地周辺で、約57haのほ場を管理。そのうちネギは約6.5haで周年栽培。ブランドネギ「白神ねぎ」の売り上げにも大きく貢献している。

■就農希望者を応援します!
「農業を始めるまでの流れは?」「作る野菜は何がいい?」など、さまざまな相談に対応しています。ほかにも市では各種補助金や支援制度を用意していますので、新規就農に興味がある人はお気軽に相談してください。

問合せ:農業技術センター
【電話】52-2247

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