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法の広場

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秋田県鹿角市

■ものさし
東日本大震災のあと、少し、被災地で働きましたが、大きな政策の中身が「なんとなく」雰囲気で決まっていく過程を目の当たりにしました。
政治学者の丸山眞男(まさお)氏は、太平洋戦争に至る国の方針が「なんとなく」決まっていったと表現しています。
どちらの場面でも、客観的な統計や専門家の知見があったはずですがそれらの「ものさし」は、「なんとなく」にかき消されてしまいます。
僕自身、周りに嫌われても、必ず一度は問題点を指摘することにしていますが、「なんとなく」の壁は分厚く、「ものさし」を一度当てるくらいではビクともしません。手ごわい「なんとなく」は「常識」という言葉に近いように思います。「常識とは、特定の集団で、客観的に正しいと、信じられている事柄」と皮肉った人がいますが、この定義だと、個人の思い込みから、カルト教団の教義、ムラ社会の掟、政策決定まで常識であり、言い得て妙です。弁護士の仕事は、「なんとなく」信じてしまいそうな誤った常識に「ものさし」をあて、誤解を解くこと。なんとなくする借金・契約・結婚などは常にリスクをはらんでいます。
専門家として重要なことは自分の「ものさし」が使える範囲を過信しないことです。自分の専門外のことはその分野の専門家に聞くことで専門家同士のネットワークもできます。地方だと専門家を探すのが難しいですが、身近な人に相談することでネットワークの中の適切な専門家を紹介してもらえることが多いはずです。もちろん、経験からくる「なんとなく」も大切で、最後は直感で決めるのが現実でしょう。でも、能登半島地震のような場面で直感だけで判断できるでしょうか。そんな場面でこそ「なんとなく」を「ものさし」が支えられるよう、専門家が、日々、信頼を積み重ねないといけませんね。

志賀貴光(たかみつ)弁護士
法テラス鹿角法律事務所
所在地:福祉保健センター内(2階)
相談受付時間:9時~17時30分
※要予約

問合せ:法テラス鹿角法律事務所
【電話】050-3383-1416

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