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Sopron note(ショプロン ノート) 日本語語学指導員現地レポート

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秋田県鹿角市

■日本語語学指導員 堀縁(ゆかり)さん
花輪高校卒業後、獨協大学外国語学部に入学。新潟県で地域国際交流協会に従事するなど、豊富な国際交流活動の経験を生かし、第12代日本語語学指導員に就任。ハンガリーで活動中。

▽ハンガリーの医療事情
ハンガリーの医学・薬学分野の高等教育は質が高く、世界中から多くの留学生が集まります。ハンガリーは物価が比較的安いため、他のヨーロッパ諸国の大学よりも低コストであるほか、英語やドイツ語で履修できることが人気の理由です。このように、ハンガリーの大学では、世界中から留学生を呼び寄せることが一大ビジネスとなっています。
この話を聞くと、ハンガリーの医療環境はさぞ充実しているのではと予想されますが、現状は、深刻な医師不足に加え、公立病院は資金不足に陥っています。なぜなら、ハンガリーは国内の賃金水準が低いため、学生の多くは、国外で就職してしまうからです。実際、オーストリアとの国境付近に位置するショプロンにおいては、この影響を強く感じます。ハンガリー人の私の友人は、オーストリアの病院に入院し、そこで出産しましたが、勤務していた医師や看護師たちは全員ハンガリー人だったそうです。
また、ハンガリーでは、国家健康保険に加入し、保険料を納付していれば、国内の公的医療サービスを無料で受けることができます。しかし、「救急なのに8時間以上待たされた」とか、「手術の予約が半年後」など、ネガティブな声を多く聞きます。ショプロン市内の公立病院に入院したことがある人は、入院前に医師から、「キャンプに行くつもりで準備をして来てください」と指示を受け、タオルや洗面道具だけでなく、トイレットペーパーも持参するよう求められたそうです。
このような医療を取り巻く情勢については、ハンガリーだけでなく日本も同様の問題を抱えています。両国では、将来にわたって社会保障制度を維持していけるか、根本的な構造を見直す岐路に立っていると思います。

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