県では人口減少や少子高齢化などを背景とした社会課題解決のため事業に取り組む民間企業を支援したり、民間企業と行政がコミュニケーションを取ることのできる場の創出をしたりして、県全体で「官民共創」を推進しています。
「官民共創」が進むことにより県内では新しい事業が次々と生まれ、新しい価値の創出につながっています。今回はその一部を、事業に取り組む人たちの思いと共にご紹介します。
官民共創、なぜ必要?
■01 どんどん新たなビジネスが生まれる群馬県へ
新たな製品やサービスの開発・販売には、効果検証など事前の実証実験が必要です。新たなビジネス創出に果敢に挑戦する企業や団体を支援するため、県では異業種連携の促進、実証実験の場の提供などを行う「ぐんま未来イノベーションLAB」を運営しています。
「新しいことは群馬で試す」をテーマに、デジタル技術などを活用した新たなビジネスが生まれる環境を整えることで、県の産業振興や新規の雇用創出につなげていきます。
県が「官民共創」を進める理由は主に2つ!
県庁未来投資・デジタル産業課
デジタル産業創出係長
稲垣雄樹さん
・セミナーの開催などを通して、自治体・企業とのネットワーク構築、社会や地域の課題解決を目的とした新たなビジネス創出を支援
・県にデジタルの力で変革をもたらす可能性のある、新たなビジネスの社会実証・実装プロジェクトを支援
地域の活性化のために民間企業のアイデアを聞きたい…
市場の需要を知るために社会や地域の課題が知りたい…
新しい事業を始めるために異業種の企業とつながりたい…
社会課題解決のためのプロジェクトを立ち上げたい…
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新規ビジネス・新規雇用を生み出す
●官民共創事業に取り組む企業を紹介
ミシュランはフランスに本社を置くタイヤ製造企業です。その日本法人である日本ミシュランタイヤが5年8月に本社を群馬県太田市に移転しました。この移転にどのような期待を抱いているのでしょうか。
▽群馬の官民共創がタイヤを変える
本社移転をきっかけに大きく増加したのが「地域協業の機会」、まさに官民共創の取り組みでした。県や市町村といった自治体や地元企業、大学との、何かあればすぐに相談できる親密な関係は、群馬でこそ。自治体とのパイプが構築しやすくなり、心理的な距離の近さも感じていると担当者は語ります。
主要な顧客である運輸業界の経営改善と自社タイヤのブランディングに向けて「ぐんま未来イノベーションLAB」を活用。地元の運送会社の協力により、デジタル技術を活用したタイヤ管理や走行によるCO2排出量のデータを自動集計できるようなシステム作りに取り組み、さまざまなデータが得られました。
それはいわば群馬の官民共創から得られた貴重な成果の1つ。世界に広がるミシュラン・グループ全体で共有され、タイヤ技術の発展に貢献できる可能性を秘めているのです。
▽持続可能な企業を目指して
日本ミシュランタイヤは、東京と太田の二拠点で事業を展開していましたが、社員の知見が分散すること、二拠点への投資によるコスト高、社員同士の協業機会の少なさの他、災害時のリスクなど、さまざまな課題がありました。
群馬県は自動車産業の集積地で技術革新や産業連携がしやすい環境が整っていたため、当社は平成3年から研究開発の拠点を置いています。また災害レジリエンスが高く、持続可能な事業経営が可能だと考えました。これらの利点から、社員との話し合いを経て本社移転を決断しました。
移転後、群馬県・群馬大学・地元企業とビジネス課題解決のチームを立ち上げ、連携したことで、群馬県は産官学連携の土壌が整っていることを実感しました。今後も地域の皆さまとつながりながら、持続可能な未来を創造していきます。
日本ミシュランタイヤ株式会社
代表取締役社長
須藤元さん
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