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熱中人128

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群馬県千代田町

■愛馬家・馬と歩んできた20年
◇人生紆余曲折。馬を愛する気持ちは変わらない。
―小林 凌(りょう)さん(新福寺・30歳)―

千年以上の歴史がある相馬野馬追(そうまのまおい)(福島県)。相馬氏の祖、平将門が野馬を放ち、敵兵に見立てて軍事訓練を行ったことが起源といわれています。この伝統行事に初めて挑んだのが小林凌さん。
那須塩原市で生まれ育った小林さんは、乗馬クラブや牧場が身近にあったことから、幼少期より乗馬に興味を持ちました。兄を追うように、5歳の時に乗馬クラブに入会。将来、騎手になることを夢見ていました。
中学卒業後に競走馬を育成する牧場に就業。馬の世話の合間に、騎手免許試験の勉強も進めていました。この試験では、学力や騎乗技術・身体検査・面接で選考され、合格率はわずか5%。何度も挑戦しましたが、現実は厳しく騎手の夢を断念します。しかしながら馬に携わりたい気持ちは強く、※厩務員(きゅうむいん)に。馬は繊細な生き物なので、初めて人を乗せるタイミングが重要です。驚いて暴れたり、下手をするとケガをしてしまい、そのトラウマから、競走馬としての道が閉ざされることも。
仕事に慣れてきた時に、なかなか言うこと聞いてくれないある雌馬がいたそうです。ある日、その馬の調子が上がってきたため、競争の練習に。すると猛スピードで柵に向かって走り出してしまいました。小林さんは必死に止めようとしましたが、そのまま激突。馬は大ケガ、小林さんも両腕複雑骨折の重傷でした。命の危険を伴う仕事を続けるのは難しいとの思いもあり、他の道を考えることに。厩務員を辞め、大病を患っていた父のために実家に戻った小林さんは、父の担当看護師をしていた女性と結婚し、その影響で自身も看護師になりました。
馬から離れていましたが、知人からの誘いで、今年の7月に相馬野馬追に初陣。行事の目玉である神旗争奪戦は数百騎の騎馬武者が天高く打ち上げられた2本の旗を奪い合います。今まで培った馬を操る技術で見事、神旗を獲得した小林さん。雄姿を迎えてくれた牧場のスタッフや家族の姿を見た時、今までの出来事が走馬灯のように思い出され号泣しました。
今後は「自宅で飼っているポニーと家族との生活を大事にし、将来的には町で乗馬クラブを作ることを夢見ています」と笑顔で話しました。
※厩務員…馬房の清掃や馬の健康管理、食事の準備や馬体の洗浄、調教の準備などをする仕事。
※「厩務員」の「厩」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

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