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【特集】超高齢社会の現代 知っていますか?認知症のこと(1)

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群馬県千代田町

高齢化は日本で進行している社会現象。千代田町も例外でなく、高齢化率は31.75%。
数十年前から続いており、現在では深刻な状況になっています。
そして高齢化と切っても切れない課題の1つが「認知症」です。
65歳以上の認知症患者は2020年の約602万人から2025年には675万人と5.4人に1人が認知症患者になると予想されています(「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」より)。

■それぞれの原因と症状
▽脳の働きが少しずつ低下する病気
認知症とは、脳の病気や障害といったさまざまな原因により脳の働きが少しずつ低下する病気です。認知症は、脳の認知機能に障害が起きることで日常生活に支障が出る病気の総称として使われます。そのため、発症の仕組みによってそれぞれ異なる種類に分類されます。

▽加齢によるもの忘れとは異なる
認知症は、加齢によるもの忘れとは異なります。約束を忘れてしまったり、人や物の名前が出てこなかったりといったことはいわゆる「もの忘れ」。日常生活で困ることはあるかもしれませんが、深刻な支障をきたすことはありません。
一方で、認知症はその約束したこと自体を忘れ、本人には忘れたという自覚もありません。例えば、物をしまったことを忘れて、盗まれたと思い込んでしまい騒動に発展するといったようなことがあります。また、進行すると脳の働きが低下し、記憶力や判断力だけでなく、身体機能にも影響が出ます。
初期の認知症は、もの忘れと見分けがつかないことが少なくありません。そのため、認知症が進行してから診断されるケースも見られます。認知症の不安を感じた場合には、もの忘れと思い込まずにかかりつけ医などに相談することが大切です。

出典:「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」

▽アルツハイマー型認知症
進行は穏やか。記憶障害が著しく、特に最近の記憶が不得意になります。うつ状態がみられることもあります。
~特徴的な症状~
・同じ質問を何度も繰り返す
・物事の段取り(食事の準備など)が悪くなる
・日にちが分からなくなる
・約束を忘れる

▽レビー小体型認知症
初期のころは物忘れにより、うつ状態、失神、震えといった症状が出たり、幻視(目の前にないはずのものが見える)を認めたりすることがあります。
~特徴的な症状~
・子どもや虫が見えると言う
・夢を見て反応し大声を出す
・もの忘れは軽い

▽脳血管性認知症
脳の血管障害で、脳細胞が死滅することで発症します。高血圧や糖尿病などの治療・改善が予防につながります。
~特徴的な症状~
・意欲が低下する
・もの忘れがある割にはしっかりしている(まだら認知症)
・手足の麻痺がある

▽前頭側頭型認知症(ピック病)
もの忘れの症状は軽く、意欲や理性、感情をコントロールすることが難しくなります。万引きや無銭飲食などで、周囲を困惑させることも少なくありません。
~特徴的な症状~
・同じ時間に同じ行動をとる
・同じ食品を際限なく食べる
・周囲を顧みず自己本位な行動が目立つ

■chapter01 専門の医師・相談員
◆〔医師より〕周囲の協力を得ることが大切です
県の認知症疾患医療センターに指定されているつつじメンタルホスピタルでお話を伺いました。

▽物忘れとの違い
物忘れは加齢とともに起こるが、その物忘れが日常生活を脅かす程度にまで進行するのが認知症です。加齢による記憶障害では想起(知っているはずのことを思い出すこと)がしばしば障害されるが、認知症では記銘(新しいことを脳に書き込んで覚えること)が障害されます。

▽認知症の初期症状
認知症の原因となる疾患によって初期症状はさまざま。認知症の原因の半数以上を占めるアルツハイマー病においては、記銘力障害(新しいことを覚えられない)に加え、意欲低下・無関心・抑うつ気分などが、記憶障害に先行して生じることもあります。

▽早期発見のポイント
検査などで記憶力低下や認知機能低下が確認される以前から、他者からは変化がわからないが、自覚的には能力低下を感じている状態があることが知られています。記憶・認知機能以外の変化も早期発見のポイントです。

▽若年性認知症の原因
若年性認知症においてもアルツハイマー病が最も多い原因です。一方で、前頭側頭型認知症(ピック病)も若年発症で多いことが知られており、高齢者の認知症に比べて割合が高くなっています。

▽生活習慣病が与える影響
生活習慣病は認知症の発症リスクを高めます。糖尿病ではアルツハイマー病や脳血管性認知症の発症に関係し、高血圧は脳血管性認知症の大きなリスクとなります。

▽60~70代のフレイルが与える影響
フレイルは認知症だけでなく高齢者における日常生活活動への影響が大きく、特に認知症患者においては、周囲の介護負担が増大する大きな要因となります。
※フレイル…加齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になるような虚弱な状態のこと。食事、飲酒、喫煙が与える影響純粋なアルコール認知症については専門家間においても議論が分かれているところです。しかし、食事・飲酒・喫煙はメタボを含めた身体疾患の原因となりうるため、認知症発症へ影響します。

▽認知症と生きる社会を作るために
残念ながら現状において認知症は「治らない」病気であるため、いかに認知症とともに生活をしていくかが重要です。また、患者本人にとっては、運動習慣が認知症の進展予防に効果的です。周囲は認知症患者がいかに自立した日常生活を送る環境を提供できるかが重要と考えます。

つつじメンタルホスピタル理事長 田渕肇先生
〔略歴〕
平成6年3月に慶應義塾大学医学部を卒業し、同年4月より慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局。平成7年より東京青梅病院精神科で研修医としてのキャリアを研き、平成12年に青柳病院(現つつじメンタルホスピタル)非常勤医師を務めた。その後、医療法人康生会(社団)理事、慶應義塾大学医学部精神神経科専任講師などを歴任。令和2年4月より医療法人康生会(社団)理事長、慶應義塾大学医学部精神神経科特任准教授として精神科・認知症の専門機関として適切で最良の医療のために尽力されている。

お電話でのお問合せ:認知症疾患医療センターつつじメンタルホスピタル
【電話】57-6366(直通)

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