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市史編さんだより 第8回

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群馬県桐生市

■「不動穴洞穴出土の南海産貝類アクセサリー」
『新編桐生市史』編集委員 原始古代部会専門委員
前原 豊(まえはらゆたか)

昭和48年3月、当時、県立桐生女子高校の教諭だった宮崎重雄氏を中心に梅田町にある不動穴洞穴の発掘調査が行われました。
洞穴からは2500点を超える哺乳類の化石や縄文時代の土器・石器に混ざって、イモガイやツノガイなどの南の海域で採集される貝類を使ったアクセサリー、アカエイ製の刺突具、ハイガイ製の腕輪、骨製の針などが出土しました。
イモガイとツノガイにタカラガイを加えた三種の南海産貝製品は、今から8000年前、中部高地で押型文土器を使う人々によって生み出されました。南海産貝製品は、中部高地から紀伊半島、瀬戸内、四国へと続く押型文土器の波及ルートで伝えられました。南限は佐賀県の東名遺跡、北限は桐生の不動穴洞穴ですが、これより北には出土した例がありません。このことは、北の地域では押型文土器文化を受け入れたものの、その文化が定着しなかったなどの理由があるのかもしれませんが、詳細は解明されていません。
不動穴洞穴の調査で出土した南海産貝製品は、私たちが暮らす地域が中部高地と共通の文化圏であったことのほか、さまざまな海産製品は海浜地域との頻繁な交流があったことを物語っています。

問い合わせ:市史編さん室
【電話】47-7335

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