■霞ヶ浦の伝統漁法 帆引き船でとれる生き物
帆引き船は、霞ヶ浦の伝統漁法に用いられた船です。帆で風を受け船を横向きに動かしつつ網を引く漁法で、昭和40年代まで行われていました。この漁法は坂村(かすみがうら市坂)の折本良平(おりもとりょうへい)によって明治時代に開発され、最盛期には霞ヶ浦全体で900艘(そう)もの帆引き船を見ることができました。
ワカサギは、帆引き船で最も多くとれた魚で、現在でもトロール船などで漁獲されています。霞ヶ浦では、春に卵がかえって成長していき、11、12月に成魚となり1、2月に産卵して一生を終えます。また、シラウオはワカサギと同じく帆引き船でとれた主要な魚でした。これらの生き物たちが卵を産めるよう保護するために、禁漁期間が設けられ、水産資源の確保が古くから行われています。
この他にも、さまざまな生き物が帆引き船の網にかかりました。テナガエビは成長すると8cmほどになる甲殻類で、水産加工業では「ザザエビ」と呼ばれる稚エビが多く利用されました。ゴロはハゼの仲間の総称で、主にヌマチチブ、ウキゴリ、アシシロハゼなどが帆引き船の網にかかったといわれています。
水族館では、伝統漁法で網にかかったさまざまな生き物たちの「生の姿」をゆっくり観察することができます。ぜひ近くでご覧ください。
問合せ:かすみがうら市水族館
【電話】029-896-0722
来月号は、雪入ふれあいの里公園によるコラムを掲載予定
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