シリーズまち・ひと・しごと #49(1)

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■利根町花物語

今月の「シリーズまち・ひと・しごと」は、「利根町花物語」と題して、利根町のお花屋さんをご紹介します。
第一話となる今回は、中田切の県道沿いにある「Kanon(カノン)」さんです。
店頭にはずらりと並ぶ豊富な種類の花苗。ガーデニング好きの方が県外からも多く通うお店です。利根町で花屋を続けて約43 年。ここ数年は、ワークショップの開催やマルシェへの出店などを通して、新たな客層も増えてきたそうです。
「Kanon」さんの今までとこれからについてお話を伺いました。

■Kanon ―Flower and Green―
▽家族4人で営む花屋
父、正(ただし)さんがサラリーマンを辞めて利根町で花屋を始めたのは昭和55年、今から43年前。早尾にあったリブレ京成というスーパーの中で始めた花屋が最初のスタートでした。それから移転などを経て、26年前に現在の場所に移り、「カノン」としてオープンしました。
現在は、家族4人でお店を営んでおり、仕入れも分担して行なっています。市場での切り花は正さんと長女の友美(ともみ)さん、市場での花苗は正さん、生産者からの花苗の仕入れは次女のまゆみさんがそれぞれ担当しています。繁忙期には週3回、早朝3時半に出発し、東京の大田市場まで仕入れに行くそうです。
「市場に5時前に着くように行っています。7時から始まる競り場の下見に2時間はないと」
そう話すのは父の正さん。現在はインターネットで自宅からでも競りに参加できるようになりましたが、必ず市場に行って仕入れをするようにしているそうです。
「昔と違い、生産者さんは減っていますが、年々いろいろな種類のお花が出てきています。珍しい種類は市場の競りに出回らない物も多く、生産者の方と直接やりとりをしたりなど、市場以外からも仕入れています」
店の販売は4人で行なっており、一人一人のオーダーに合わせて丁寧に作られるアレンジメントも人気です。母の美津子さんも、お花を通して多くのお客さんと接し、さまざまなオーダーを受けてきました。
「利根町を離れた方から、ご家族へのお花の注文を電話でいただく事もあります。遠くに行っても注文をしてもらえる事、ありがたいなと思います」

▽マルシェへの出店をきっかけに生まれた変化
二女のまゆみさんがお店で働くようになったのは今から約18年前。結婚や出産を経て、現在は子育てをしながらお店のさまざまな事を担当しています。4、5年前からは、姉の友美さんと一緒に、ワークショップの企画運営、マルシェへの出店、雑貨の仕入れ、リースやスワッグの製作など、新しい事にも精力的に取り組んでいます。まゆみさん自身、ここ数年で仕事との向き合い方が変わってきたといいます。
「以前は次々と入荷してくる花苗の世話をするだけで精一杯で、リース作りや雑貨の仕入れをする余裕は全くありませんでした。そんな中でも、自分が選んだ雑貨や、作ったリースなどを売りたいと思い、5年前初めてマルシェに参加しました。ほとんど売れなかったんですけど、それでも自分の選んで持って行ったものをかわいいって言われた事がすごく嬉しくて」
そこから少しずつ、町内外のマルシェに出店するようになり、それをきっかけにお店に足を運ぶお客さんも増えてきたといいます。
マルシェの出店を機に、インスタグラムでの発信やワークショップの開催など、新しい動きにつながっていき、より多くの世代にお店の存在が知られるようになったそうです。

▽幅広い世代から人気のワークショップ
季節によって内容が変わるワークショップも、幅広い世代から人気です。内容は友美さんとまゆみさんの二人で話し合って決め、開催当日も協力しながら進めます。
ワークショップを本格的に始めたのは一昨年の10月から。お店の奥に元々あったハウスを撤去し、空いたスペースを利用して、以前からやりたかったワークショップのための小屋を作ったそうです。
まゆみさんはワークショップを始めた理由について、次のように話します。
「普段お花に触る機会がない人にも、お花の楽しさを伝えるきっかけになればいいなと思って始めました。お客様の中には、子育て中のお母さんがちょっとした息抜きとして、一人で集中する時間を持てるという事で参加する方もいます。お子さん連れの方もいるし、ご年配の方で寄せ植えが家だと上手くできない、という方も参加してくれています」
ワークショップを開催することで、お客さんとゆっくり話す時間が取れるようになり、情報交換の場にもなっているそう。そこで得られたお客さんの声をワークショップや仕入れに生かすこともあるのだとか。

▽Kanon -flower and green-
場所：利根町中田切107-2
時間：9：00～18：30
定休日：月曜日
instagram：@hanaoto.kanon