■利根町桜づつみ保存会
「利根町の観光スポットはどこですか?」と聞かれて、まず最初に思い浮べるのが「利根川桜づつみ」という方も多くいると思います。近年は、春になると、利根川の堤防上に現れる、見事な桜のトンネルを見るために町内外から多くの花見客が訪れるようになり、今では、利根町を代表する観光スポットとなった「利根川桜づつみ」。この桜づつみを、「日本中の人に見てもらいたい」、そして「利根町の素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしい」と願い、日々、桜の保存活動を行なっているのが「利根町桜づつみ保存会」の皆さんです。桜の開花を直前に控えた今月の「シリーズまち・ひと・しごと」は、利根町桜づつみ保存会会長の三谷 博(みたにひろし)さんにお話を伺いました。
―まず、「利根川桜づつみ」の歴史について教えてください
利根川桜づつみは、「利根川の堤防上に町民の憩いの場となるような、町の新しい名所をつくろう!」という町民のアイデアから「桜づつみ構想」が生まれて、町民が中心となって企画立案をし、約3年半をかけて関係機関と協議・研究を重ねました。そして、町や国土交通省の協力を得て、平成17年3月、ついにこの構想が実現して「利根川桜づつみ」が誕生しました。
この桜づつみに植えられている桜は、里親(オーナー)制度を導入していて、182本すべてにオーナーがいるんです。当初の計画では、90本を植樹する予定でしたが、予想を超える応募があり、最終的には182本のソメイヨシノを植樹することになりました。実際現地に行くと、1本1本に里親さんの名前とメッセージが書かれたオーナープレートが取り付けてあります。
―「利根町桜づつみ保存会」とは、どのような団体ですか?
桜づつみに植えられている桜は、町民の宝だと思っています。保存会は、この町民の宝を、いつまでも健康で美しく維持していくため、平成21年に桜のオーナーと町が協力して立ち上げたボランティア団体で、現在22名が会員として登録されています。
主な活動内容は、害虫駆除のための薬剤散布やオーナープレートの管理、不要枝の剪定、芽かき作業、桜づつみのPR活動など様々です。特に、全国にたくさんある桜の保存会の中でも、利根町ほど熱心に芽かき作業を行なっている団体はあまりないと思いますよ。
また、年に一度、町にも協力していただきながら、「桜づつみオーナー会議」を開催していて、桜の生育状況の報告や、「日本花の会」特任研究員で樹木医の和田博幸(ひろゆき)先生をお招きし、桜に関する講演会なども行っています。
―活動する中で、課題などがあれば教えてください
一番の課題は会員の高齢化です。保存会の活動は、施肥(せひ)や芽かきなど、現場作業も多いので、若い力が必要です。
現在会員の平均年齢は約75歳なので、本格的に世代交代を考える時期だと思っています。最近は、口コミで若い女性が入会してくれたり、少しずつ会員は増えていますが、もっと多くの方々にもご参加いただいて、保存会を盛り上げてほしいです。
このことについて、和田先生に相談したところ、全国には、親子を巻き込みながら子供たちと一緒に桜の保全活動を行うなど、保存会の若返りに成功した事例もあるそうなので、利根町でも、子育て世代などと一緒に施肥作業やお花見をする企画ができたらなと考えています。そして、若い世代の発信力で、桜づつみの魅力を全国に知らせてほしいです。
―最後に、保存会として今後の目標や夢はありますか
大阪には、桜の名所として全国的に知られている「造幣局の桜の通り抜け」という場所があるのですが、「利根町の桜づつみは、造幣局の桜の通り抜けにも引けを取らない。」と、あるカメラマンが話しているのを聞きました。実際に私たちも視察したことがありますが、本当にその通りだと思いました。
今後の目標は、利根町の桜づつみを、「西の造幣局桜の通り抜け」、「東の利根町、利根川桜づつみ」と言われるような、日本を代表する桜の名所にしていきたいです。そのためにも、ぜひ若い世代の方に保存会に入っていただいて、一緒に利根川桜づつみを守り、その魅力を全国に発信していただきたいです。
みんなで利根町を盛り上げていきましょう。
■利根川桜づつみと利根町桜づつみ保存会の歩み
2005年 利根川桜づつみ完成
2009年 利根町桜づつみ保存会発足
2016年 茨城新聞社主催「茨城の宝125選」認定
2019年 「日本さくらの会」から表彰
2020年 「日本花の会」機関誌「さくら」にて紹介
2020年 茨城県知事を訪問し、利根川桜づつみをPR
2022年 日本さくらの会「さくら名所100選」HP掲載
一般的にソメイヨシノの寿命は60年程度と言われており、何も手入れをしないと寿命はもっと短くなるそうです。利根川桜づつみの桜は、植樹から約20年が経ちますが、保存会の皆さんの日々の活動により、今でも順調に成長を続けています。木によって生育にバラつきはありますが、中には幹回り90cmを超える木が130本もあるとのこと。
また、利根川桜づつみは、平成28年に茨城新聞社が主催した「茨城の宝125選」に選ばれ、名実ともに利根町の宝から「茨城の宝」として認められました。この先、利根川桜づつみが「茨城の宝」から「日本の宝」と呼ばれる日も、遠い未来ではないのかもしれません。その日まで、私たち一人ひとりが、利根川桜づつみを町の宝として大事に育てていきたいものです。
まだ訪れたことがない方は、ぜひ今年こそ現地で満開の桜のトンネルを歩いて利根町の魅力を再発見してみてください。
■問い合わせ
利根川桜づつみの保全活動および利根町桜づつみ保存会に関する問い合わせは、三谷会長へご連絡ください。
問い合わせ:【電話】090-4013-3733(三谷会長)
事務局:役場 まち未来創造課 都市整備係
【電話】68-2211(内線247)
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