■自由な発想で詩作を続ける
第42回現代詩人賞を受賞 粕谷栄市さん(89歳・本町二丁目)
昨年10月に10年ぶりに刊行した詩集『楽園』で、第42回現代詩人賞を受賞した粕谷さん。これまで刊行した個人詩集でも数々の賞を受賞しています。市内製茶問屋の8代目でもある、生粋の古河人の粕谷さんに、詩作への思いを伺いました。
市内で江戸時代から続く製茶問屋「二津屋(ふたつや)」を営む粕谷さん。幼少の頃は戦争の末期で、毎日が目まぐるしく変わる激動の日々を生き抜いてきました。その時に育まれた豊かな感性は、後の詩作に大きな影響を与えたといいます。
早稲田大学で本格的に詩と向き合い、卒業後は実家で商売をしながら詩作に没頭。37歳の時に初めて刊行した詩集『世界の構造』で第2回高見順賞を受賞します。その後も発表した個人詩集8作品のうち、6作品が賞を受賞するなど、現代詩壇から非常に高く評価されてきました。
粕谷さんが書く作品は全て散文詩で、日記のような感覚で自由に表現できるのが魅力とのこと。また、お茶と詩はどこか通じる部分があると話します。お茶の良し悪しは考えて分かるものではなく、見て分かるもの。詩も同様に、解釈するものではなく、感じたままに表現することが大切だそうです。
「自分の詩を良いと思ったら終わり」と語る粕谷さん。数々の文学賞受賞にも満足することなく、100歳になっても書き続けたいと、学びの姿勢を忘れません。秋の夜長、香り高いお茶を飲みながら、粕谷さんがつくり出す世界観に浸ってみてはいかがでしょう。
○古河文学館企画展「散文詩の巨人 粕谷栄市」
期間:12月24日(水)まで
費用:200円(小中高生50円)
問合せ:古河文学館
【電話】21-1129
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