■市民の「もしも」のときに備えて
本格的な冬の到来を迎え、火災が発生しやすい時期になりました。火災から生命や財産を守るためには、日頃からその危険性を認識し、対策を行うことが大切です。さらに、近年は自然災害も多発しており、常に不測の事態を想定しておかなければなりません。
そんな有事の際に、現場の最前線で活動に当たるのが消防士です。消防士は火災現場で消火活動をするイメージが強いかもしれませんが、救急車で出動し、傷病者の確認や救急救命処置・搬送を行うことも重要な仕事です。そのほか、水難事故などで要救助者を助け出す救助活動や、店舗などの消防用設備の検査業務、火災予防広報など、幅広い活動を行っています。
また、火災や大規模災害の際にいち早く現場に駆け付け、消防士と連携を取りながら消火・救助活動を行う353人の消防団員がいます。24時間消防業務に専念している消防士と異なり、普段は会社員や自営業などの本業を持ちながら「自分たちのまちは自分たちで守る」という精神で活動している人たちです。
今回の特集では、私たちの「もしも」のときに備えて日夜奮闘する消防士と、地域防災の要である消防団員を紹介します。
■市内の火災・救急状況
○火災
・過去3年間の火災件数
昨年、市内で発生した火災は49件。今年は9月末時点で既に46件発生しており、死者も出ています
・令和5年火災原因
主な出火原因は、放火(疑いを含む)・たばこ等の消し忘れ・電気機器関係で、約半数を占めています
○救急
・出場件数
救急車の出場件数は年々増加し、今後も救急要請が増加し続けることが予想されます。救急車の数には限りがあるため、緊急性のない要請が増えると、緊急搬送が必要な人の元へ救急車の到着が遅れる懸念があります。
■このまちを守る使命と誇り 古賀消防署員の活動と思い
本市の消防組織は、古河・総和消防署、三和・住吉分署、駅西・上大野出張所で総員130人の消防士や救急救命士などで構成されています。そこには、24時間365日、昼夜を問わず火災などの緊急時に出動する消防士たちの姿が。
「このまちを守る」
その使命と誇りを胸に、今日も厳しい訓練を重ねています。
◇消防士の活動内容
災害対応に当たる消防士は24時間勤務の2交代制で、翌日の8時30分まで出動に備えます。食事を含め、行動を共にする時間が長いので、隊員同士の結束も強くなります
・消火…火災の通報を受けていち早く現場に向かい、消火を行います。消火後は火災の原因や損害の調査も行います
・救助…あらゆる災害から被災者を救助します。レスキュー隊とも呼ばれる人命救助のスペシャリストです
・救急…救急車で傷病者を病院へ搬送します。救急救命士や救急科修了者などの資格を持つ隊員が担当します
[古河消防署 予防係長 上田(うえた)敏之さん]
消防用設備の検査や防火管理の指導のほか、火災の原因調査等、被害を未然に防ぐ業務を行っています。火災の原因は、たばこ・たき火・電気・暖房器具などで、不注意から大きな被害につながる事例が多いため、一人一人が火気の取り扱いを注意することで防ぐことができます。今後も市民の皆さんに防火に関する意識を高めてもらう取り組みを行ってまいります。
[古河消防署 機関員 栗田日和(ひより)さん]
3年前に大型免許を取得し、現在は機関員として救急車やはしご車の運転を担当しています。現場に女性の被災者がいた場合は特に、私から寄り添うように配慮しています。同性だからこそ頼ってもらえることもあり、やりがいにつながっていると感じます。今後も機関員としての腕をさらに磨き、皆さんの安全を守っていきたいです。
[古河消防署 署長 谷中昭次さん]
消防署の仕事は、市民の皆さまの生命・身体・財産を守ることが目的であり、使命です。そのため、どんな状況においても最大限の力が発揮できるよう日々訓練に励んでいます。しかし、被害の軽減には、住宅用火災警報器の設置や防火意識の向上も大切です。共にこのまちの安心・安全を守るため、皆さまのご協力をお願いいたします。
◇消防署から市民の皆さんへのお願い
1 火災予防について
冬は空気が乾燥し、火災の起こりやすい季節です。火の元には十分気を付けていただき、暖房器具の周りには燃えやすいものを置かず、寝る前には必ず火の元を確認してください。また、大規模地震などでの停電から、復旧後に出火する「通電火災」の発生が懸念されているので、感震ブレーカーの設置や家具類の転倒防止対策等もお願いします。
2 住警器の設置と維持
一般住宅や共同住宅等の住居部分は、住宅用火災警報器(住警器)の設置が義務付けられています。住宅火災による死者の約7割は65歳以上の人で、約5割は逃げ遅れです。火災を早く発見し、逃げ遅れを防ぐためには住警器の設置が有効です。設置している場合でも、半年に1回以上の点検をお願いします。
3 救急車の適正利用
緊急性のない要請で救急車が出動することで、本当に救急車を必要とする傷病者に対する救命処置が遅れてしまいます。救える命が救えない事態を防ぐために、適正な利用をお願いします。
・救急車を呼ぶか迷ったら
【電話】050-5445-2856
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