■過去を知り未来に目を向けて
40年以上執筆活動を続ける児童文学作家
一色(いっしき)悦子さん(82歳・長谷町)
数々の作品を執筆し、昨年の秋にも新作の児童文学『荒野にふたば町を建てる 安積原野(あさかげんや)と谷中村(やなかむら)の川』(随想舎)を出版した一色さん。この作品は市内中学校に寄贈されています。長年にわたり作品と向き合う一色さんに、児童文学作家になったきっかけや、作品を通して伝えたい思いなどを伺いました。
図書館の館長を務めていた父の都合で図書館を住まいとし、本に囲まれて育った一色さん。幼い頃から読書が好きで、短大卒業後は地元である福島県郡山市で中学校の国語教師として勤務しました。
結婚を機に古河市に移り、市内の保育所で働き始めたのは27歳の時。そこでたくさんの絵本や児童書に触れ、自分も作品を書いてみたいと思い執筆活動を始めました。その頃に出会った恩師である児童文学作家の古田足日(たるひ)先生との交流などを通し、児童文学をより深く学んだと話します。作品作りでは、外出先の何気ない景色や新聞で新たに知り得た物事などから着想を得ているそうです。自分の日常生活から、子どもたちに楽しんで共感してもらえる題材を見つけて取り入れています。
一方で「ただ楽しいことだけを表現するのではなく、昨今の問題や課題を取り入れることも必要」と力強く語る一色さん。歴史を知り、戦争などの問題を人ごととして捉えるのではなく、一人一人が自分の事として向き合うことが大切だと言います。
たくさん本を読み、子どもたちにはこれからの世の中に目を向け、人と人とのつながりを大切にしてほしいと話す、一色さんの優しいまなざしが印象的でした。
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