■地域のみんなで見守る猫
○地域猫をご存じですか?
地域猫とは「地域で管理されている猫」のことをいいます。野良猫と同様に屋外で生活をしており、決まった飼い主はいませんが、不妊去勢手術を受け、特定の餌やり場やトイレが設置されるなど、地域住民を中心に管理されている点が、野良猫と大きく異なります。
○地域猫活動
野良猫を地域猫として管理することで、ふん尿や繁殖期の鳴き声などの問題を解決し、将来的には飼い主のいない猫をなくすことを目的とした活動です。
地域の皆さんの理解と協力が重要になります。
・地域住民と飼い主のいない猫との共生を目指す
・望まない命を増やさないために不妊去勢手術を行う
・餌の管理やトイレの設置を行い、環境美化を目指す
・地域の飼い主が猫を適切に飼育していく
○TNR活動
地域猫活動では重要なTNR。これは飼い主のいない猫に不妊去勢手術をすることで繁殖を防止し、一代限りの命を全うさせるための活動です。
T:Trap(トラップ) 捕まえる
猫がけがをしないように気を付けながら、捕獲器で捕まえます
N:Neuter(ニューター) 不妊去勢手術をする
不妊去勢手術後は、麻酔が効いているうちに、手術が済んだ目印として耳先をV字にカットします
R:Return(リターン) 元の場所に戻す
ゆっくり休ませ、猫が元気になったら捕まえた場所に返します
桜の花びらのようにカットした耳は「さくら耳」といい、その耳をしている猫は「さくらねこ」と呼ばれています。
地域や病院などで違いはありますが、雄は右耳、雌は左耳をカットすることが多いそうです。
◆団体名:古河猫の会
○人と猫が共生する社会へ
人と猫が共生し、飼い主がいない猫を増やさない・減らしていこうと活動する「古河猫の会」の皆さん。平成23年に設立し、地域猫活動をしているボランティア団体です。活動を始めたきっかけは、現在代表を務める人の自宅に野良猫が子猫を連れてきたこと。命を粗末にできないと周囲に相談していく中、当時市内で地域猫活動を行っていた人と出会ったことで一緒に活動を始めました。
活動は毎日の餌やりやTNRのほか、相談があった地域の人向けに回覧用のチラシを配布するなどの啓発もしています。餌やりは、決まった場所と時間で実施。食べ終わった後は片付けまできちんと行います。定期的に餌やりをすることで、猫がごみを荒らすこともなくなります。また、TNRは捕獲をするまでが大変です。捕獲するために何度も餌やりをして、信頼関係を築き、猫の活動が活発になる夜中に捕獲へ向かう場合もあります。
長年活動を続ける中で実感しているのは、地域猫活動は、行政・地域住民・ボランティアの協力体制が必要だということ。また、飼い主のいない猫の不妊去勢手術代も課題です。
活動に理解を示し、協力してくれる人が多い地域では、猫の問題が解消しやすくなります。問題を解決するために住民同士の交流が自然と増えるので、相談しやすい環境になるためです。地域猫活動は、人と人とのつながりを生む活動でもあります。
最終的には野良猫による被害の減少を目指し、人と猫が共生するまちづくりをすることが目的です。地域には猫の好きな人ばかりではありません。活動中に心無い声をかけられることもありますが、今後も小さな命を救うため、コツコツと活動を続けていきます。
◆地域猫との付き合い方
Q 近所でよく見かけるので、餌をあげてもいいですか?
A 地域猫は、特定の場所・時間で餌をもらっている猫なので、餌のやり過ぎには注意してください。猫のおやつなどには味の濃いものもあるため、食べ過ぎると猫の健康にも影響が出てしまいます。
Q 家に遊びに来ている猫がなついてくれたので、そのまま飼ってもいいですか?
A 地域猫であれば地域住民が管理しているので、近所の人や団体の人に一声かけるといいでしょう。活動している人に状況が伝わるほか、不妊去勢手術の有無を知ることもできます。
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