■アーカスの2023年度の振り返り
2023年5月から、新型コロナウイルス感染症が5類感染症になったため、国境をまたいで行われるアーティスト・イン・レジデンス(AIR)は元の通りに行うことが可能になりました。振り返ってみると、今年度は、3つのAIRプログラムで7カ国・地域から合計11人(組)のアーティストが参加しました。
2年目となった短期のAIRプログラム、アーカス・リサーチでは、海外から4人のアーティストが来日し、それぞれの研究課題に向けて調査に取り組んでいました。期間は1カ月と短いのですが、終了後もそれぞれ独自に継続していたようです。メキシコからやってきた建築家のエリックはその一環で富士山に登頂していました。
2国間でアーティストを交換するエクスチェンジ・レジデンシー・プログラムでは、永田康祐(ながたこうすけ)がソウルに滞在し、また韓国のアーティスト・グループのRice Brewing Sisters Club(ライス ブリューイング シスターズ クラブ)(RBSC)が守谷を拠点にそれぞれの活動を行いました。偶然にも、「発酵」という制作テーマを共有する両者。永田はさまざまなお米を原料にマッコリを作り、RBSCは海女について調べ自身も海に潜るなどして、両国間の食文化の往来を捉え直しました。
そして、例年行なっている90日間のAIRプログラムでは、海外のアーティストとして英国のローラ・クーパーが、そして国内のアーティストとして北海道在住の進藤冬華(しんどうふゆか)の2人を迎え入れました。クーパーは猪の狩猟を調査し、進藤は鬼怒川や利根川が流れる茨城県南の地域を市民とともに歩きました。取材の度にクーパーが持ち帰ってきた猪のお肉は、忘れられません。たくさんのお肉をアーティストやスタッフで分けて、動物の命に感謝をしながら大事にいただきました。
AIRの他にも、開智望小学校から依頼を受けてワークショップを行いました。児童各自が物語を作り、その物語を1枚のポスターで表すというもので、子どもたちの斬新なアイデアに驚かされた刺激的な時間でした。
2024年度も、アーカスは、国内と海外を結ぶ現代アートの中継点としてますますその役割を追い求めるとともに、守谷市をはじめとした地域の皆さんとも一緒に作ったり見たり考えたりする楽しさを分かち合って行きたいと考えています。どうぞお楽しみに。
問合先:アーカススタジオ(もりや学びの里内)
【電話】46-2600 (10:00~18:00)
【メール】arcus@arcus-project.com
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