「自分の可能性を諦めてしまったら未来を潰してしまうことになるから、とにかく継続する」
逆境を乗り越えながら鍛錬を積み重ね、世界の頂点へ。
「努力は裏切らない」―
誰もが耳にしたことのあるこの言葉を、全身で体現している人がいます。
かつては細身の身体にコンプレックスを抱えていた彼は、トレーニングを通じて強靭な肉体だけでなく自信と前向きな姿勢を手に入れました。
今月号では、世界大会で優勝するまでの挑戦と努力の軌跡をご紹介します。
■アーノルドクラシックヨーロッパ2024
日本代表 横關裕二
よこぜき・ゆうじ
1993年生まれ、石下西中学校出身。
[主な戦績]
・IFBBアーノルドクラシックヨーロッパ クラシックボディビル175cm以下級 優勝、ゲームズクラシックボディビル準優勝
・IFBB男子ワールドカップ ゲームズクラシックボディビル175cm以下級 第3位
・GOLD’s GYM JAPAN CUPクラシックフィジーク175cm以下級 優勝
・日本クラシックボディビル選手権 第3位(2024)
・日本クラシックフィジーク選手権大会 準優勝(2023)
《Chapter 1》
▽ボディビルとの出会い
―身体を鍛え始めたきっかけは?
身体を鍛え始めたきっかけとして、私は元々運動が好きだったため、筋力トレーニングに対して強い興味を持っていました。その中で、筋肉があることが男らしさやかっこよさにつながるのではないかという思いがあり、筋肉をつけることで女性にもモテるのではないかと考えて、鍛え始めました。
また私は大学を卒業後、消防官として就職することが決まっていましたので、消防官という職業は、市民の皆さんに安心感を与えるために、一定の体力や筋力が必要だと感じたため、身体を鍛えることに取り組むようになりました。
―ボディビルを始めたきっかけは?
学生時代、私はライフセービング競技に取り組んでいました。しかし、海が遠い環境では練習環境の確保が難しく、何よりモチベーションを維持するのが大変でした。思うような成績が出ず、ケガをしてしまったこともあり、自分の中で「これは続けるのが難しいかな」と感じるようになりました。
そこで、ライフセービングは終わりにし、ボディビルに転向しました。ジムに行ければ環境が変わることはないため、自分のやる気次第でどうにでもなるという点が魅力的でした。また、鍛えれば鍛えるほどその成果が目に見えてわかるため、どんどん楽しくなり「ボディビル」に、のめり込んでいきました。
《Chapter 2》
▽身体を鍛える喜び
―日々のトレーニング内容について教えてください
トレーニングは基本的に週5日行っています。その中で、背中、胸、肩、腕、脚といったように部位を分けて1日1回トレーニングをし、1週間で回していくというスタイルです。
具体的には、3日間トレーニングを行い、1日休みを入れ、さらに2日間トレーニングを行ってから1日休むを繰り返して全身を鍛えています。残りの2日間はオフとして、トレーニングは行いません。
―食事管理について教えてください
減量中は摂取カロリーやPFCバランス(たんぱく質、脂質、炭水化物の割合)をしっかり管理しています。
摂取カロリーの中でたんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれの割合を決め、それに基づいて1日5食に分けて定期的に摂取します。
身体の状況を見極めながら、疲れていると感じた場合には炭水化物や脂質を多めに摂取することもありますし、逆に必要ないと感じた日は控えることもあります。食事内容は身体の状態を見ながら日によって調整をします。
トレーニング前には多めに栄養を摂れるように、炭水化物を意識して多く摂取するように調整しています。また、空腹で寝る状態を作ることも心がけています。朝や昼にしっかりと食べて、夜は最低限の食事にするイメージです。活動が始まる前に栄養をしっかり摂ることが重要です。
―トレーニングを続ける上でモチベーションになっているものは何ですか?
私はパーソナルトレーナーとしてトレーニングを教える立場なので、正しいトレーニングや知識を提供することを大切にしています。それと同時に、自分自身の身体をより良くする努力を通じて、新しい発見や成長を楽しんでいます。
その楽しさを少しでも多くの人に伝えたいという思いでトレーニングを教えており、自分が楽しみながら成長しているからこそ、教えることも自然と楽しいものになっています。そのため「モチベーションを保つ」というよりも、成長や楽しさそのものが私の活動の原動力となっています。
―身体を鍛え始めてから、変化を感じた事はありますか?
メンタル面で大きな変化を感じています。自信が持てるようになり、周囲の目を気にせず自分の時間を大切にできるようになりましたね。
メンタルが整うことで安定感が生まれ、体調も良くなった実感があります。
もちろんトレーニングによる筋肉痛や疲労を感じることもありますが、それすらも「しっかり取り組めた証」としてポジティブに捉えられるようになりました。
物事をネガティブに考えなくなり、より活動的で前向きな自分になれたと感じています。
―身体を鍛えることで得られるメリットを教えてください
「前まで階段を上がるのが辛かったのに、筋肉を鍛えたら階段を上がるのが楽になった」とか「肩こりがひどかったけど背中を鍛えるようになったら肩こりがなくなった」など、生活の機能の改善はすごく効果があると思います。
あとは、トレーニングをしていくうちに、今まで自信がなかった人でも自信がついて、新しい自分に会えると思います。身体が変われば行動が変わり、新しい自分に出会って、その人にとってより良い人生が送れるんじゃないかなと自分の中では思っています。
あと、辛いトレーニングをしていると、トレーニング以上に辛いことってあんまりないので、今思うと消防署の現場とかでもトレーニングよりも辛いと感じたことは無かったような気もしますね。
辛いことを辛いと感じなくなりました。
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