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[特集]関東一の大鍋 やまがた宿 芋煮会(1)

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茨城県常陸大宮市

毎年、11月下旬に開催される「やまがた宿芋煮会」は、平成10年から開催され、やまがた宿芋煮会実行委員会が中心となって実施しています。11月19日に開催された芋煮会には市内および県内外から約7,500人が来場し、大変なにぎわいを見せました。今月号では、芋煮会の知られざるこだわりや11月19日に開催されたイベントの様子、家でも芋煮会の味を楽しめるレシピをご紹介します。

◆合併前から山方地域に根付く恒例行事
今年で26回目を迎えたやまがた宿芋煮会は、地元を盛り上げるため、大きなイベントを企画しようという話がきっかけで始まりました。「東北を旅した時に見た芋煮会や、バーベキューのように外で芋煮を囲む姿から発想を得て、自分たちでもやってみようと町へ提案したんです」と話すのは、やまがた宿芋煮会実行委員会の後藤博史会長です。

◆芋煮会を象徴する継ぎ目のない大鍋
やまがた宿芋煮会の象徴である直径約3.5mを誇る大鍋は、第5回から使い始めました。開始当初は、神奉地コミュニティセンターの近くの給食センターで使用されていた約1mの調理釜4つを引きとり、芋煮を作っていました。さらにイベントを盛り上げようと地元の金属加工業者に依頼し、特注の型に溶かしたアルミニウムを流し込む形で、継ぎ目のない大鍋が作られました。これだけ大きな鍋が複数の部品を組み合わせず、全てつながった状態で作られているのは、全国的にも珍しいといいます。

◆奥久慈産の7つの食材を味わう芋煮汁
芋煮会では、地産地消にこだわった7つの食材が使われます。主役のサトイモをはじめ、奥久慈しゃも肉、ネギ、コンニャク、ゴボウ、イモガラ、干しシイタケが入り、それぞれがうまみや風味を出すことで唯一無二の芋煮が出来上がります。
主役のサトイモは毎年約1tを地元農家の方が生産し、その全量が芋煮会で使用されます。サトイモ以外の食材も、それぞれ芋煮汁の中で役割があります。「鍋の風味にはゴボウの土の香りと提供直前に散らすネギが肝になり、干しシイタケの戻し汁やしゃも肉もうまみを作り上げる大切なだしになります。また、イモガラは開催当初、入れていませんでしたが、幼少期からみそ汁に入れていたので、芋煮にも合うと思い、入れ始めました。市外からの来訪者のなかには初めて食べる方も多く、『イモガラが美味しい。どこで売っているのか』と聞かれることもあります」と後藤会長は話します。

◆鶏ガラと昆布、2種の旨みがつまったスープ
味付けにもこだわりがぎゅっと詰まります。芋煮汁のだしには、昆布と奥久慈しゃもの鶏ガラスープをかけあわせ、さっぱりしながらも、強いうまみを具材に与えます。そこへしょうゆ、砂糖と地元酒造会社の日本酒を入れます。「開催当初は、芋煮が盛んな山形県の芋煮と同じく、牛肉としょうゆをベースとした味を作り上げていましたが、しょうゆには鶏のさっぱりしたうまみが合うと、現在のような鶏としょうゆを組み合わせた形にしました」と後藤会長は話します。

◆1週間前から当日に向けて準備
実行委員会による準備はおよそ1週間前から始まります。地域の人々がそれぞれの職や趣味から身に付けた技術と能力をふんだんに生かして進められます。
最初に行われるのはかまど作りです。かまど作りを担当するのは普段大工を営んでいる実行委員です。大きなクレーン車を使い、かまどのパーツを組み立て、かまどが風の影響を受けないよう、コンクリート壁を周囲に設置します。
薪も、普段の大工仕事で出た端材を芋煮会に向けてストックしておいたものを使用しています。1年かけて集めた木材は芋煮会当日にほぼすべて消費されます。
また、当日調理をスムーズに行えるよう、食材の下処理も事前に行っています。収穫したサトイモは、芋煮会のために特注した洗浄用の機械を使い、半日かけて洗い上げられます。「昔、川に設置された水車でサトイモを洗ったことをヒントに、同じような仕組みの機械を作れないか相談して完成したのが専用の洗浄用機械です」と後藤会長は話します。洗浄したサトイモは、加工場で皮をむき、空気に触れないよう水に付け、使用まで大切に保管されます。

◆芋煮汁を楽しみにした来場者で会場には長蛇の列
朝7時半を過ぎたころから徐々に人が並び始め、提供を開始する11時には芋煮汁を心待ちにした人々の長蛇の列ができます。
来場者は、久慈川の景色を眺めながら、あたたかい芋煮汁を楽しみました。中には、数十杯分の協賛券を購入し、自宅から持ってきた鍋に入れ、持ち帰る人も。今年の芋煮会では、約7,500食が提供され、大盛況のうちに幕を閉じました。

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