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常陸大宮市史編さんだより Vol.79

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茨城県常陸大宮市

自然部会 専門調査員
稲葉 修

◆新種となった生き物・両生類
『常陸大宮市史 別編2 自然』が発刊された2022年、この年の7月と8月に市内に生息する2種類の両生類に新種がいることが、調査を進めてきた各研究グループからそれぞれ発表されました。今回、この2種の生き物についてご紹介します。

・イワキサンショウウオ(市史でトウキョウサンショウウオとされていたもの)
市内の丘陵地や山地には、「ヤマドジョウ」などと呼ばれる「サンショウウオ」が生息しています。春先の水辺でバナナ型の卵がみられることもあります。これが、今回新種とされた「イワキサンショウウオ」です。関東地方と福島県の一部に生息するトウキョウサンショウウオとされていたもので、近年、福島県と茨城県、栃木県東部の個体(北側のグループ)は、栃木県西部や埼玉、千葉、東京、神奈川の各県の個体(南側のグループ)のものとは「遺伝的に異なっている」ことから研究が進められてきました。また、「手足の付け根の間の長さ」など、体のつくりの一部で差が見られる傾向があり、2022年7月に本市を含む「北側のグループ」が新種とされ、研究で採集された福島県いわき市の個体をもとに「イワキサンショウウオ」という名前がつきました。
イワキサンショウウオは、トウキョウサンショウウオとともに開発等による生息環境の悪化や外来種の影響、乱獲により激減しており、「種の保存法」という法律によって販売目的の採集や販売が禁止されています。

・ムカシツチガエル(市史でツチガエルとされていたもの)
市内では、「イボガエル」とも呼ばれているカエルです。本州、四国、九州などに分布するツチガエルのうち、東北地方の太平洋側から関東(本市を含む)・中部の一部にかけて分布する個体は、他地域のツチガエルとは遺伝的に異なり、分布境界域での雑種もみられないことから、2022年8月に新種とされました。ツチガエルよりも古い時代に中国など大陸産の良く似たカエルから(種が)分かれたと考えられています。オタマジャクシの段階では、よく似たツチガエルと比べ、お腹にある白い点のような「腺(細胞の組織のひとつ)」の数が少ないとされますが、判別は難しく、大人のカエルでも外見上の区別はつきません。昔ながらの田んぼや素掘り水路に多いのですが、開発や圃場整備によって減少しています。

身近な生物でも、詳しく調べていくと、まだまだわからないことがたくさんあります。市史を参考に、家の近くの生き物を観察してみませんか。

問い合わせ:文化スポーツ課 文化振興グループ
【電話】52-1111(内線343)

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