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歴史資料館だよりNo.100

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茨城県桜川市

◆辰海道遺跡出土の紡錘車〔後編〕
◇鉄製紡錘車の特徴
10世紀、県内で鉄生産が本格化し、辰海道遺跡でも鍛冶工房跡が確認されています。鉄製紡錘車は出土すること自体が少なく、辰海道遺跡のように1つの遺跡から複数出土するのは大変珍しく、集落で織物や鉄生産を行うなど、当時の生活や仕事の様子を具体的に想像できる資料です。

◇鉄製紡錘車から見えること
辰海道遺跡から出土した鉄製紡錘車4点のうち、中心の穴に棒が残る状態で出土した2点は、完全な形が分かる貴重なものです。他の遺跡と比べて小さいことから高い加工技術を持っていたと推測できます。

◇未来の子どもたちへ
写真は辰海道遺跡から出土した鉄製紡錘車の保管状況です。金属製品を空気に触れたままにすると、錆やひび割れにより最終的には復元不可能になってしまいます。傷などを修復後、錆を取り樹脂でコーティングし、乾燥剤を入れ真空パックにして文化財の劣化を防いでいます。
未来の子どもたちに文化財を残し伝えていくために保存処理を行っています。

◆鴨鳥五所神社本殿の修理が始まります
大泉の鴨鳥地区に、鴨鳥五所神社が鎮座しています。平安時代に山上の飯森峯(いいもりのみね)に迎えられ、結城朝光(ゆうきともみつ)が鎌倉時代に現在地へ移し、室町時代に結城基光(ゆうきもとみつ)が現在の社殿を建てたと伝えられています。
普段参拝する手前の建物が拝殿、その奥の通路状の建物が幣殿(へいでん)、一番奥が御神体の安置される本殿になります。
県指定文化財である現在の本殿は、県内で最も古い、室町時代中期の神社建築です。
しかも、横に5部屋を並べた五間社(ごけんしゃ)という大変に珍しい造りで、中央に伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祀り、左右に大己貴尊(おおなむちのみこと)・武甕槌尊(たけみかつちのみこと)・金山彦尊(かなやまひこのみこと)・事代主尊(ことしろぬしのみこと)と4柱の神様を1部屋毎に祀っています。
屋根は茅葺きから銅板葺きに変更されていますが、全体として建築当初の様式が保存され、茨城県を代表する文化財建造物です。
雨に当たる高欄や回廊に傷みが見られるため、一昨年度から調査を行い、今年度、県と市の補助事業として保存修理工事を行います。
次回から1年間にわたり、特に注目したい部分や、修理の状況について紹介していきます。

教育委員会文化財課文化財グループ
(【電話】58-5111・75-3111代表)

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