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水戸の城さんぽ(其の二)

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茨城県水戸市 クリエイティブ・コモンズ

御三家・水戸徳川家の居城、水戸城を紹介するでござる!

■水戸城~土づくりの平山城、国内最大級~
水戸城は、標高約30mの細長い台地の先端を利用して築かれた、土づくりの平山城です。築城は平安時代末期~鎌倉時代初め頃で、県内でも最古級の歴史を有しています。中世は、馬場氏→江戸氏→佐竹氏と城主が交代し、江戸時代には、「下の丸」、「本丸」、「二の丸」、「三の丸」という、4つの曲輪(くるわ)(区画)が東西に並ぶ、御三家・水戸徳川家の居城として栄えました。
一方、同じ御三家の居城である名古屋城や和歌山城と比べて「貧弱だ」、「小さい」といった声をよく聞きます。そこで今回は、水戸城のキラリと光るところを2点、紹介しましょう。
1点目は、城内の広さです。水戸城の主郭(中心部)の総面積は、約55.7ヘクタール。和歌山城の主郭が約21ヘクタールですから、約2.6倍の広さです。県内の城では最も広大で、土づくりの平山城としては国内最大級の大きさでした。
さらに注目すべきは、その全長です。水戸城の全長は東西約1380m。全長を測定しにくい山城を除くと、1位の大坂城(約2700m)、2位の江戸城(約2250m)、3位の名古屋城(約1440m)に次ぐ第4位になります。1.3kmも続く水戸城の長い城壁や櫓(やぐら)は、城下町から見上げると、さぞ壮観だったことでしょう。
2点目は、三階櫓(さんかいやぐら)の構造です。「水戸城には天守がなかった」とよく言われますが、その理由は、幕府への届出を「天守」ではなく「櫓」としていたためで、三階櫓は事実上の天守でした。
その三階櫓は、内部構造が非常に奇抜だったことで知られています。外側はシンプルな3階建てに見えて、実はその内部は5階建て。1階部分はまさかの土間で、櫓内に土足で入る形になります。2階で下足し、そこに現われるのは、畳72枚分の大広間。しかも、柱は中央に1本だけという見晴らしの良さです。上部にまだ3階分ありますから、柱1本でどうやって重さを支えたのか不思議に思いませんか。このような変則的な構造の天守は、水戸城しかありません。外観は控えめですが、内観は見所たっぷり。空襲で焼失してしまいましたが、まさに、オンリーワンの天守だったのです。
さらに水戸城には、巨大な堀と土塁など、中世以来の伝統的な、土づくりの迫力ある遺構が現存しているのも特徴です。現在は、大手門・二の丸角櫓といった城郭建築が復元され、見学ルート(水戸学の道)も整備されました。ライトアップされた夜景も素敵です。ぜひ、城内をゆっくり散歩して、独特の魅力を堪能してみてください。
歴史文化財課 関口慶久

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