■地域おこし協力隊とは?
地域おこし協力隊とは、総務省が平成21年度から取り組んでいる制度で、都市部の意欲ある人材が地方へ移住(最長3年)し、地域力の維持・強化を目的とした支援活動を行うものです。
■地域おこし協力隊卒業特集 不思議な縁に導かれて
三上紀子(みかみのりこ)隊員 60歳 東京都から移住
二年と半年の短い期間でしたが、笠間市地域おこし協力隊を自分なりに一生懸命に務めさせていただきました。ただ、果たして私はどのくらい笠間の皆さんのお役に立つことができたのか気になるところです。
思えば、主人に連れられてはじめて観光で笠間を訪ねたのは、もう20年以上も前になります。東京から車で一時間と少し。週末のドライブには常磐道は楽しい経路で、笠間はもってこいの目的地でした。
もともとアート好きだった私たち夫婦は、笠間焼の作家さんの陶器を見ながら街なかを歩いたり、工芸の丘を散歩するのが大好きになりました。訪ねる度にお気に入りのギャラリーで器を手にとり、購入するのが楽しみとなりました。
ある時は愛車で笠間から峠を越えて、つくば方面まで行き、東京への帰路につくこともありました。上郷地区での「田んぼのオーナー制度」に参加した年もありました。初めて田んぼに裸足で入り、田植えのお手伝いをして、秋には稲刈りも体験しました。木造の小学校跡地の校庭で地元の方たちが炊き出しでおもてなしをしてくださった芋煮の美味しさは今でも忘れられません。
このように、夫婦で年に数回訪れては、その時々の笠間で余暇を楽しませていただきました。そんな折、笠間市で協力隊として活動をさせていただけたのは、なんという不思議なご縁だったのでしょうか。
幸い、これまで約30年間、建築の専門家として仕事をしてきたことを面接でお伝えしたところ、その経験を生かして「まちの継承」というテーマで活動をしてはどうか、ということになりました。
それからの二年半は、本当にあっという間でした。
地域交流センターや市内小学校で建築の楽しさを伝える「建築ワークショップ」、市民の皆さんと企画し歩く「まちあるき」、市有施設である笠間の家で建築を語り合う「たてものがたり」を行いました。
「まちあるき」は、まちの再発見・再発掘を合言葉に、岩間エリア・稲田エリア・宍戸エリアの3ヶ所を歩きました。番外編で笠間市民の有志の方々と大郷戸・箱田でのまちあるきも行いました。
市販のストローで家の構造を理解する「ストローハウス・ワークショップ」では、毎回子どもたちの創造性の豊かさに驚かされ、小さな家をつくる「段ボールハウス・ワークショップ」にも参加しました。
一方、「たてものがたり」は、憧れの建築家・伊東豊夫先生設計の笠間の家での毎月の勉強会を通して、笠間にあるいろいろな場所や建物についての「物語」を、参加者のメンバーと一緒に熱く語り合いました。
これらの事業のすべてにおいて、笠間の市民の方々には本当にお世話になりました。まちあるきのための資料探し、ルートの検討、まちの地理や歴史、さらにはまちの文化や民話について等々。
当初は分からない事ばかりで、手探り状態で突然お尋ねしても、優しく丁寧に対応くださり、一からご教示・ご指導くださいました。この場をお借りして心から厚く感謝を申し上げます。
本当にここには書き尽くせないほど、楽しくて夢中であっという間に過ぎた2年半でした。できることなら、あともう少しこの活動を続けていきたいと思いますが、任期ですので仕方がありません。
いろいろ悩んだ結果、協力隊退任後は、「かさまくらしLab」という名の一般社団法人を笠間で立ち上げ、仲間と一緒にこれまでの3つの活動を継続していければと思っています。まだまだ未熟な団体と思いますが、まちで見かけましたら、どうかお引き立ていただければ幸いです。
最後になりましたが、隊員としての活動をご支援くださった笠間市役所の皆様のご厚情に深く感謝申し上げるとともに、笠間市の益々のご繁栄を心より祈念いたします。短い間でしたが、本当にありがとうございました。
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