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自治体の皆さまへ

SDGsで共に創る持続可能な行方第38回

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茨城県行方市

■気候変動対策、COPとグローバル・ストックテイク
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

1.気候変動対策について世界が協議するCOP
皆さま、明けましておめでとうございます。2024年はSDGsの後半の取り組みがスタートとなります。持続可能な地球と未来に向けて、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOP28が2023年11~12月にアラブ首長国連邦(UAE)にて開催されました。締約国会議COP(Conference of the Parties)とは、世界の全ての条約締約国(197の国・地域)が参加し、気候変動対策のルール等について協議する最高意思決定機関です。地球温暖化・気候変動対策については、1992年の国連環境開発会議(通称:地球サミット)でのUNFCCCの署名開始から、1995年に第1回のCOPがドイツで開催され、以降、原則として毎年開催されてきました。なお、地球環境問題ですと、生物多様性条約(CBD)等でもCOPが開催されています。

2.パリ協定のメカニズムとグローバル・ストックテイク
今回のCOP28では、初めて実施されたグローバル・ストックテイク(GST)の結果が提示されました。GSTは気候変動対策にかかるパリ協定のメカニズムにおいて重要です。パリ協定で示された、世界の平均気温の上昇抑制に、実効性を持たせるメカニズム(図)を見てみましょう。(本連載34号、森本:2021、IGES「GSTを学ぶ」を参照)

第1に、全ての締約国が5年ごとに温暖化対策ガスの削減目標等を定めたNDC(国が決定する貢献)を策定し、取り組みを進めます。第2に、各国は、それぞれのNDCの実施や達成に向けた進捗を2年おきに隔年透明性報告書(BTR)を提出し、審査や多国間での検討を行います。第3に、世界全体の実施状況や進捗の評価は5年おきに実施されるGSTで確認されされます。NDCが各国であるのに対し、GSTが世界全体として行われるのは、気候変動を地球規模課題として取り組む必要があるためです。そして第4に、GSTの結果を踏まえつつ各国は新たなNDCを作成する、という一連のサイクルになります。なお、GSTでは情報収集・準備、技術の評価を経て、成果物の検討はNDC提出(次は2025年)の2年前(2023年)に終了となります。

3.COP28と化石燃料からの脱却に向けて
COP28の成果物である「UAEコンセンサス」においては、画期的な合意がなされました。「2050年までに世界のネットゼロを可能とするために、全ての化石燃料からの脱却を図る」(UAECOP28:2023)とした点です(ネットゼロについては別途ご説明します)。重要な点として、対象が従来から論じられてきた石炭だけでなく、石油や天然ガス等を含む化石燃料全体に広がりました。こうした重要な合意が、産油国であるアラブ首長国連邦でのCOPでなされたことの歴史的な意味は、大きいと言えるでしょう。

・本連載第34回において、誤植がありましたので訂正します。
(誤)NCD(正)NDC

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