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SDGsで共に創る持続可能な行方 第40回

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茨城県行方市

■気候変動への適応
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

1.二つの気候変動対策―「緩和と適応」
気候変動対策には、大きく分けて「緩和」(mitigation)と「適応」(adaptation)の二種類があります(図)。SDGsターゲット13・3では「気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する」とあります。
※図は本紙参照

まず「緩和」とは、気候変動を引き起こす「原因を少なく」する対策です。具体的にはすでにご紹介してきた、国連気候変動枠組み条約、パリ協定等による、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入等による排出削減、そして植林等による二酸化炭素の吸収促進といった、脱炭素・ネットゼロへの取り組みがこれにあたります。

2.「気候変動は急に止まらない」―影響に備える「適応」
もう一つの「適応」とは、気候変動によってもたらされる「影響に備える」対策です。気候変動を極力抑制する「緩和」とともに、「適応」によってすでに起きている、起きつつある気候変動の影響を軽減することも極めて重要です。「緩和」による効果が発現するには時間がかかりますし、過去に蓄積された温室効果ガスの影響等もあり、気候変動による自然や人間生活への影響はどうしても避けられません。「気候変動は急に止まらない」のです。

従いまして「全ての国々で、気候関連の災害や自然災害に対するレジリエンスと適応力を強化する」(SDGsターゲット13・1)ことが重要になります。日本では、気候変動への適応策の基盤として、「気候変動適応法」が平成30年に成立しました。ここでは「気候変動影響」とは、「気候変動に起因して、人の健康又は生活環境の悪化、生物の多様性の低下その他の生活、社会、経済又は自然環境において生ずる影響」とされています。また、「気候変動適応」とは、「気候変動影響に対応して、これによる被害の防止又は軽減その他生活の安定、社会若しくは経済の健全な発展又は自然環境の保全を図ること」とされています。

3.気候変動適応の分野と地域社会
環境省が平成30年にまとめた「気候変動適応法の概要」によれば「適応の総合的推進」に向けた7分野として、自然災害に加えて、農林水産業、水資源・水環境、自然生態系、健康、産業・経済活動、国民生活が挙げられています。具体的には、「高温耐性の農作物品種の開発・普及、魚類の分布域の変化に対応した漁場の整備、堤防・洪水調整施設等の着実なハード整備、ハザードマップ作成の促進」等が挙げられており、令和5年に「熱中症予防対策の推進」が追加されました。

「気候変動適応法」では、国、事業者、国民による責務や国際協力に加えて、地域社会の重要性についても述べられています。具体的には、地域気候変動適応計画策定の努力義務(第12条)、地域において気候変動適応に関する情報収集・提供等を行う拠点「地域気候変動適応センター」の確保(第13条)、そして広域協議会による国と地方公共団体等の連携(第14条)が挙げられています。

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