◆お盆って何色?
先日、役所の待合椅子でたまたま隣になった5歳ほどの女の子に唐突に「おとといって何色?」と聞かれて絶句。それ以来「〇〇って何色?」と自分に問うてみるのがマイブームだ。
お盆の色も考えてみたら「限りなく白に近いうす緑」という結論になった。
高校生になる前くらいまでだろうか。お盆になると行方市三和の金上にある父の実家を一家で訪ねたものだった。その際に、飲み物と共に出してくれた「瓜の浅漬け」の果肉部分の色が私のお盆の色。幅15ミリほどにスライスされた2~3切れが、生姜醤油にひたされた後、皿替わりの私の左の手のひら上に載せられる(思えば、熱中症予防にうってつけの食べ物だ)。割とずっしり、そしてヒンヤリとしたそれには独特な存在感があり、私はまじまじと見つめた。煮ると透明になってしまうその果肉。白のようでいて白ではない、なんとも繊細なうす緑色をあたしがちゃんと記憶しとくからね!などと心の中でつぶやいた。種を取り除いた部分は、歯が抜けた歯茎に似ているな、とも思った。
たぶん、盆綱(最近知ったお盆の風習。三和地区など行方各所で続いてきたらしい)についても話題になったことがあったであろう、大人たちの会話に耳を傾けていれば、その場であれこれ質問ができたかもしれないのに、私は実に近視眼的で――。まあ、そんな子どもだったのだから仕方ない。
ずいぶん前から、瓜の浅漬けを自分で作ってみようかなと思いながらもいまだに作っていないのは、当時の瓜の色の記憶が色あせてしまいそうだから……ということにしておきたい。
※盆綱(ぼんつな)2015年に「東関東の盆綱」という名称で国が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択した。
◇小林光恵さん
虹の塔に行ったことがありません。今度上ってみたいです。
行方市出身。つくば市在住。玉造小学校の私の学年は3クラスありました。航空写真の撮影で飛行機が飛んできたとき、人文字の一部になっていた私は何故か息を止めたのでした。
市公式ホームページ内で「行方帰省メシ」連載中。
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