文字サイズ
自治体の皆さまへ

なめがた大使小林光恵さん書きおろしエッセイ 五感でキャッチ!なめがた漫遊記 第5回

23/42

茨城県行方市

◆あの煮豆
白く平べったい豆たちが、独特なトロミを持った半透明・乳白色の煮汁に浮かんでいる。私の記憶では、行方で葬儀や法事等を自宅で営むのが通常だった頃、ふるまい膳には、その甘い煮豆が必ず付いていたものだった。
〔あの煮豆、唯一無二の味と食感だったなあ、美味しかったなあ〕
そう思うようになって、しばらく経つ。もう、食べる機会はないだろうとあきらめてもいた。
ところが先日「行方帰省メシ」の取材時に行方市に実家のあるIさんから、この煮豆の話がぽんと出たのだ。おばあ様が生前によく作ってくれてとても好きだったが、豆の名も料理名もわからず残念ながら再現できない、と。彼女は二十代。遠くない過去に、あの煮豆が作られていたということだ。
ならば今も食べることができるのかも!とスイッチの入った私は、まず叔母に電話してみた。すると、豆の名は「碁石豆」、料理名は「おつぼ」だという。「そういえば行方以外で売っているのを見たことない気がする」とも。それで「行方 碁石豆」でネット検索してみると、なんと麻生の「タネのハシモト」による碁石豆栽培録がYouTubeにアップされていた(動画中に8月11日に収穫、とあった)。
〔(8月の)今ならもしかして売っているかも〕と思い直売所「楽郷」に電話してみたら、ちょうど入荷したところらしく運よく入手できた。
さっそく慎重に煮てみたなら、「あの煮豆」に28年ぶりに再会できたのだった。口にするなり私は目を閉じた。あまりの懐かしさに。
しかし。4割は煮崩れしてしまい、トロミや味を含め「あの煮豆」の再現度は6割、いや5割くらいだった。煮方をくわしく指南してくださる方、この場を借りて大募集したいです。

◇小林光恵さん
この煮豆、祝いの日にも食べたそうですね。「おつぼ」ではなくほかの名で呼んでいたという方、お知らせください。
行方市出身。つくば市二の宮在住。私にとってかなり手間のかかる部類の煮豆を作った日、ずっと面倒に思えていた「エノキ氷」もついでに作ることができました。
市公式ホームページ内で「行方帰省メシ」連載中。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU