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自治体の皆さまへ

SDGsで共に創る 持続可能な行方 第49回

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茨城県行方市

◆「霞ケ浦シラウオ×AI」と持続可能な漁業
―学生のSDGs視点から(2)

行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

「行方市SDGsフィールドワーク2024」を通じた、当研究室学生の調査についてご紹介させていただきます。市民の皆さまのご参考になれば幸いです。行方市と共に霞ケ浦シラウオのブランド化に取り組む株式会社imaの内田康隆ディレクター、佐々木喜一プランナー等、ご協力いただいた関係各位に御礼申し上げます。学生による原文を尊重しつつ、必要な編集を行っております。

1.霞ケ浦特産シラウオ漁の課題
行方市が面する日本有数の淡水湖、霞ケ浦はシラウオの一大産地です。シラウオの産地は霞ケ浦のほか、青森県小川原湖や島根県宍道湖等が有名で、茨城県は全国の漁獲高第2位です。念のため、シラウオはシラス(イワシ等の幼魚)とは異なる魚種となります。
行方市におけるシラウオ漁等の漁業が抱える主な課題として、次の点が挙げられます。高齢化・担い手不足による漁業就業者数の減少、漁業者が漁獲量に依存、食の多様化などによる湖魚の国内市場の縮小、魚価低迷の常態化等です。(3年生・女性)

2.シラウオのブランド化―品質管理と販路開拓
「霞ケ浦シラウオ×AI」プロジェクトは、こうした課題を克服、持続可能な霞ケ浦の漁業を目指して2021年にスタートしました。行方市と株式会社ima、そして漁協や漁業者の協働により取り組まれており、特に次の2点が重要と考えられます。第1に、品質管理です。AI技術の活用により、鮮度の高いシラウオを判別することが可能となりました。これまで漁業者の経験に頼っていた「目利き」を、AIに約5000枚の画像データと共に学習させることで、S・A・B・Cと4段階で客観的評価による品質の判定・分類が実現しました。
そして第2に、販路開拓です。魚価の課題として、行方市周辺は魚市場がなく、限られた水産加工業者等によって買い上げられてきたため、安価で取引される傾向がありました。その解決策の一つとして、都内の高級飲食店を中心に霞ケ浦シラウオのサンプルを提供、高値での直接取引が可能な販路を開拓していきました。こうした取り組みにより、シラウオの販売価格は約5倍以上となり、ブランド化・高付加価値化への大きな一歩を踏み出しています。(4年生・女性、3年生・女性)

3.地域の協働を通じたプロジェクトの広がり―今後の展望
最後に、「霞ケ浦シラウオ×AI」プロジェクトの今後の広がりについて展望しましょう。第1に、霞ケ浦は複数の自治体にまたがっています。その生態系を維持し、その恵みであるシラウオ漁を持続可能にするために、地域全体として取り組んでいくことが重要でしょう。
そして第2に、地域の飲食、宿泊業等との協働も不可欠です。ブランドシラウオを、都内の料亭等への直販だけでなく、地元の宿泊施設での提供や、おいしくいただける飲食店をまわるツアーの実施等、地域社会全体を巻き込むことで、より大きなインパクトが期待できるでしょう。(4年生・女性)

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