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SDGsで共に創る持続可能な行方 第51回

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茨城県行方市

エネルギーとグリーン成長戦略
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

■1.『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』
本連載でもご紹介のとおり、気候変動対策のために、「2050年までに世界のネットゼロを可能とするために、全ての化石燃料からの脱却を図る」(UAEコンセンサス)ことが、国際社会の潮流となっています。2020年10月、日本は「2050年カーボンニュートラル」(ネットゼロ)を宣言し、これに向けて政府は『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下、同戦略)』(内閣官房他、2021)を取りまとめました。
同戦略によれば「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策を、グリーン成長戦略として提唱しています。地球温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、逆に成長のチャンスと捉える新時代に突入したとしています。従来の発想を転換し、積極的に気候変動対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長につながることが期待されます。

■2.グリーン成長が期待される産業(14分野)
同戦略によれば、政府の役割は、グリーン成長において民間企業が大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった挑戦を、全力で応援することとされています。国として、可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げて、民間企業が挑戦しやすい環境を作る必要があるとしています。
産業政策の観点から導き出されたグリーン成長が期待される14の産業(図)において、高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員するとされています。14産業の内訳は、エネルギー関連産業(4産業)、輸送・製造関連産業(7産業)そして家庭・オフィス産業(3産業)となります。

■3.国民生活のメリットとエネルギーのグリーン成長産業
同戦略では、カーボンニュートラルの本質は、社会を変える企業・人々の「行動の変革」であり、技術の提供側と利用側の両方に「使い方」や「つながり方」を変容させ、イノベーションの好循環(スパイラル)をもたらすことが重要としています。そのため、2050年カーボンニュートラルの成果として、国民生活のメリットを意識しつつ、本戦略を実行していくとされます。エネルギーのグリーン成長産業においては、例えば次のようなメリットが挙げられています。
第一に、洋上風力・太陽光・地熱産業について、商業施設や家庭の壁面にも設置可能な水準を目指し、電気料金を節約することが期待されます。第二に、将来の水素火力発電、燃料アンモニア発電については、サプライチェーンが安定した将来においては、価格安定効果が期待されます。そして第三に、合成メタンによる次世代熱エネルギー産業では、メタネーション技術により、水素と二酸化炭素からメタンを合成することが可能になります。現在の都市ガスの原料である天然ガスを、この合成メタンに置き換えることで、ガスの脱炭素化を目指します(資源エネルギー庁、2021)。

※図は本紙をご参照ください。

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