市民の皆さんの命を守るため、今日も救急車のサイレンが聞こえてきます。緊急事態に備え、いつでも出動できるよう24時間体制で待機している救急車。救急車の搬送件数は年々増加しています。
いざという時に命をつなぐ救急車の利用について、私たちができることは何か、救急の日に考えてみませんか?
■市内の救急車の年間出動件数
令和5年の出動件数は4036件、1日平均11回出動しています。平成26年の出動件数は2755件で、10年で約1.5倍増加しています。
その背景には、さまざまな要因が考えられますが、高齢者人口の増加も大きな要因の一つです。併せて、以前から問題となっている緊急性の低い救急要請も増えていて、さらに救急医療を圧迫しています。
市内の救急出動件数
■どんな時に救急車を要請?
皆さんは、どのような時に救急車を呼びますか?
実は、昨年救急搬送された人の半数以上が、医療機関の診療時間内での受診や休日当番医での診療で十分に治療できる軽症者です。
ケガや急病になった時に「不安」で、「どうしたらいいかわからず」救急車を呼ぶ人もいます。また、「待たないで診てもらえるのではないか」「タクシーを呼ぶとお金がかかるから」といった理由で救急車を呼ぶケースや、救急隊が到着した時には症状が落ち着き、不搬送になるケースなども増えています。
すべての救急車が出動してしまうと、緊急時に必要な人のもとにすぐに向かうことができないという事態が起こるかもしれません。そうならないためにも、救急車の適正利用が求められています。
市内の傷病程度別 搬送人員状況(令和5年)
■私たちのまちの救急隊員に聞いてみました!
鹿嶋消防署警防グループ
総括係長 消防司令 笹沼 貴之(ささぬま たかゆき)さん
鹿嶋消防署警防グループ
係長 消防司令 池田 貴一(いけだ たかひと)さん
▽出動の際に意識していることは?
池田さん:救急隊が出動する際には、まず、救急要請された人が重症かどうかの情報を事前に把握して、対応に備えます。重症という情報があれば、現場に到着する前から通報者と電話で患者さんの状況や訴えを確認しながら現場に向かっていきます。とにかく、重症者を迅速に病院まで搬送することが最優先です。そして、医療機関に到着するまでに、患者さんの容態がそれ以上悪化しないように、救急救命士が応急処置をしながら病院に搬送します。
▽どんな救急要請が多いですか?
笹沼さん:高齢者の割合が多いなと感じます。最近だとコロナやインフルエンザの影響で発熱による要請も多いです。
池田さん:再びコロナの感染が増えていて、軽症の患者さんからの要請も増えています。陽性者が自宅で療養中に息苦しさを感じて、どうしていいかわからずに119番してくるケースが多いです。このような場合は、まず、茨城救急電話相談の【電話】#7119・【電話】#8000をご利用いただき、医療機関に受診すべきかどうか、救急車を要請すべきかどうかを相談してください。
▽救急要請が重なった場合は?
笹沼さん:鹿嶋消防署には救急車が2台あるため、1台が出動中でももう1台が対応できます。しかし、2台とも出動している場合は管轄外の消防署から救急車が出動するため、到着時間が遅くなります。昨年の市内での統計では、現場到着までに平均10.9分かかっています。管轄内であれば通常そこまでの時間はかかりません。到着が遅れれば重症者への対応がその分遅れてしまいます。そのため、適正な利用を皆さんに心掛けていただかないと、重症者に救急車をすぐに回せなくなってしまいます。
▽皆さんにお願いしたいことは?
笹沼さん:病気の予防と体調管理です。持病がある方は治療を自己中断せず、定期的に通院して、重症化しないようにしてください。毎年、夏の気温上昇により熱中症になる頻度も増えています。日中の屋外での運動を控えたり、こまめな水分補給をするほか、室内で過ごす際には、エアコンを積極的に活用するなど、十分な対策をして、熱中症にならないように注意してください。
池田さん:高齢者の中には日中から症状があっても我慢してしまい、夜間に症状が悪化して救急車を呼ぶケースもあります。症状が悪化する前に早めに受診することも大切です。救急車の適正利用もありますが、重大な病気やケガと判断した場合は、ためらわずに119番通報してください。通報の際は、住所はもちろんですが、症状やかかりつけ医についても教えていただくと迅速かつ適切にその後の処置へつなげることができます。また、救急車がスムーズに到着できるよう、家の案内や誘導にご協力をお願いします。
■急な病気やケガで救急車を呼ぶか迷ったときは…
病院?救急車?様子みる?
茨城救急電話相談
24時間365日 受付
医師や看護師などの専門家がアドバイス。
緊急性が高い場合は救急要請につなげます。
▽15歳以上
おとな救急電話相談
【電話】#7119
▽15歳未満
子ども救急電話相談
【電話】#8000
または、【電話】050-5445-2856にお掛けください。
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